2004年12月06日

『部屋においでよ Come to My Place』はじまりました

F4全員脇役で出演という粋なドラマ『来我家[口巴]』がBS日テレではじまりました。本屋で原秀則の原作文庫本が「BS日テレでドラマ化」とか帯かけて売られていたが、いいんだろうか。ドラマ化はドラマ化でも台湾でってことをひとことも断らなくても。

『花様年華』やら『少林サッカー』やらアラーキーの写真集やら、小物が楽しい。仔仔の主題歌もよろしいです。主人公の同級生の一人に『流星花園』の青池和也くんをやった役者さんが扮している。第一話ではヴァネと旭がでてきた。


さてはて。巷で話題になっている『F2A』なる雑誌、渋谷のタワレコにはNo.4は数冊あったがNo.5は品切れとのこと。考天効果だ、きっと。
タワレコの近所の中華屋さんにドラマ『薔薇之恋』について問い合わせるも、お店の方には初耳だったよう。日本でF4に続くのは、鄭元暢か祐祐かと踏んでるんだが、まだ早すぎるのか。
通販で入手できないこともなさそうだが、うむ。
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2004年12月05日

『中国魅録 「鬼が来た!」撮影記録』

カンヌ大好き日本人、カンヌ映画祭で賞を取った映画は結構話題になって大々的に宣伝される。『鬼子来了! (鬼が来た!)』は2000年のカンヌ映画祭でグランプリを取ったのに、主演は日本人の香川照之というのに、地味に単館で上映されておわってしまった作品である。
そりゃそうだよな。中国人が監督で、第二次世界大戦中の日本軍の兵隊が主人公だもんな。戦争やって上陸している中国で、農村に住み込んでとけ込んでしばらく生活したんだけど、やっぱり日本軍に帰っていく、てな話だもの。別に反日映画ってわけでもないけど、戦争の狂気はしっかり描かれてる、と私は思うんだが、戦時中の日本軍がなにをやったかって話は結構デリケート。このご時世、派手に宣伝するのは難しかろう。

さてはて映画の内容はおいといて、撮影中ぶち切れそうだった香川照之による日記をまとめたのが本書。4ヶ月、中国人スタッフらと共に過ごしたというが、日本の映画撮影の常識はまったく通用しない世界なんである。
読むだにすさまじい。衣装をなくす衣装部だとか、オートリバースのカセットテープレコーダーの使い方がわからない助監督だとか。言葉は通じず通訳はいい加減。宿ではお湯がでたりでなかったり、メイドたちは客の歯ブラシを捨ててその上に痰をはくありさま。映画ではロバと馬のファックシーンがでてくるが、これは合成ではなく、媚薬を使って無理矢理撮影したものだという。そんな現場を一人で仕切っていたのが監督の姜文。
中国おそるべし、なんである。無茶苦茶な人たちから映画が生まれる過程が記録されている。

国情のちがいというのはまだまだあって、それらは明らかに画面にあらわれる。東アジアといえども文化の違いやら人の考え方の違いというは少なからずある、というのはあちこち旅行していても感じられることである。仕事として滞在するとそれらの違いがストレスとしてのしかかるというのは当然のことであろうが、そのストレスを映画にとりこんで昇華させる手法には恐れ入る。おそらくは結果的なものなんだろうけど。

香川照之、常に怒ってるんだが、一方で映画への愛情のようなものが伝わってくる。その情熱に呑まれてもう一度、『鬼が来た!』を見たくなってくるのであった。



『中国魅録 「鬼が来た!」撮影記録』
香川照之 著 キネマ旬報社 2002年4月(本体 2000円)
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2004年11月12日

『日記-「ヘブン・アンド・アース」中国滞在録』ひょっとすると映画よりも面白い撮影日記

アジアの映画やらドラマやらに、日本の役者が出演するのは珍しいことではなくなっている。『ヘブン アンド アース (天地英雄)』には中井貴一が準主役で出演していた。
中井貴一といえば、最近ノースウエスト航空の機内誌にでてたのを思い出す。オレゴンはすばらしい、というテーマのえらく気障な記事であった。結婚してどうのこうの、ってのろけまくってるし。質のいい売れ筋の映画やドラマに多数でている、騒がれすぎることもなくてそこそこ売れてる順風満帆な二枚目二世俳優という認識は、たぶん一般的なものだろう。

が、『ヘブン アンド アース (天地英雄)』では中国人のスタッフ、キャストの間に日本人一人放り込まれて、かなり苦労したらしい。
中井貴一は撮影当時の日記を軸にした体験記を著している。映画の撮影過程、本人の焦燥感、中国人キャストやスタッフの様子が記録されている。秘密主義の監督への不信感とか、主演女優のヴィッキー・チャオがおこした騒動とか、中国側の関係者には読めないから書けるんだろう、というような裏事情満載。
内容の面白さもさることながら、過酷な環境であっても自分の役をやりとげるのがプロの俳優である、というわけで中井貴一を見直したのであった。タレント本の枠にとどまらず、一体験記として読める内容の濃い本である。

日本の役者が他のアジア各国の映画やドラマに出演すること、最前線にいる当事者にとってはまだまだ大変なことのようだ。言葉の問題は大きい。さらに国によるやり方のちがい、というのがあるわけで、でもそれを乗り越えようとする過渡期が現在であるわけで、なかなかよい時代を共有している、といえる。今は日本の役者が他の国の作品に出演する場合が多いが、そのうちアジア各国の役者が、日本の作品で活躍することが多くなるかもしれない、と思うとなかなか楽しい。

『ヘブン アンド アース (天地英雄)』(2004年 2月)は中国歴史物大作映画である。主役をはっているのはヂァン・ウェン(姜文)おじさん。力作であるが、最近この手の映画、多いのである。ポイントは、やっぱり日本人が準主役で出ずっぱりのところか。


『日記-「ヘブン・アンド・アース」中国滞在録』
中井貴一 著 キネマ旬報社 2004年2月  1575円 
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2004年11月09日

惣領冬実の『MARS』

F4迷の間で話題の、仔仔主演の台湾ドラマ『戦神(MARS)』の原作となるマンガである。強烈なおすすめがあり、全15巻一気に読んだ。第15巻は出版社にも在庫がないとかで、マンガ喫茶にて。

単行本表紙をひんぱんに飾っているのが主人公の零。不良っぽくていい男でプロとして通用するバイクレーサーでもある彼と、やや陰気で絵の才能がある女の子キラの恋物語。二人は高校生で、零を好きな女やキラを好きな男がでてきて、そして話が進むにつれてやがて、、、と少女マンガの王道をいく物語なのであった。対象年齢は中学生~高校生か。
バイクシーンはとても魅力的なのだが、それよりも主人公二人が抱き合ったりいちゃいちゃしているシーンのほうが印象的だったりする。惣領冬実の絵柄は甘く、この作家らしいザ・少女マンガの世界を築く。
双子、精神的な傷、複雑な家庭環境などが、上手にとりいれられているものの、これらにコマの外までにじみでるほどの重さはない。主題にするにはあまりにも正面から描きすぎているためであろう。ラブストーリーとして素直に読むべき作品であり、それ以上の深みを求めるにはもの足りない。伏線のはり方、だんだんと主人公たちのバックグラウンドが明らかになっていく話の進め方はわかりやすい。主題ではないものの、これらは読み出したらやめられない力を作品に与えている。

ドラマティックな素材を扱いながらその重さがないぶん、実写化版には期待ができる。台湾ドラマの動画を見る限りでは重厚感があり、仔仔扮する零は原作通りの恵まれた体躯・長髪のいい男で全く違和感がない。まさか、これで高校生という設定ではないと思うが。
台湾ではこのドラマ、このたび放映終了した模様。日本でもDVDなど入手すれば見えるのだが、未見。BS日テレが字幕をつけて放映してくれるのを待つか、どうするか。
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2004年10月23日

『Boys Over Flowers』です

先日、アメリカの地方都市にいったんですが暇をみつけて本屋さんをチェックしてました。本屋さんは何件かありましたが、うちショッピングモールにはいっている本屋さん、-といっても中規模のワンフロア店ですが-、がASIAN Comic - mangaが充実してました。フェアをやってて3冊買うと少し値引きしてた。

ASIAN Comicとしましたが、韓国の作者によるものが数シリーズあったくらいで、95%が日本のマンガです。1冊10ドル弱くらい。コミックは長いものだと数十巻におよぶことを考えると結構なお値段です。有名作品が英訳されてペーパーバックとなっているのですが、吹き出しの中のフォントがちゃんとコミックのフォントになっていたり、擬音も英訳されていたりして、絵柄はもちろん日本語版と同じなんですが、ずいぶん印象がかわっています。デザイン的にアメリカナイズされて、クールにはまってます。日本でいう奥付部分をみるとアメリカ人のエディターがクレジットされています。

だんぜん多かったのが高橋留美子。『犬夜叉』はフィギュアも売られていました。副読本(というのか?)のアニメ制作現場についての本まで英語版がでていた。ほかに記憶にあるのは、吉田秋生『BANANA FISH』、井上雄彦『SLAM DUNK』、竹内直子『セーラームーン』、あとCLAMP、鳥山明、などなど。日本でメジャーな作品ばかりです。マンガの描き方の本も並んでいました。

『花より男子』もありました。『Boys Over Flowers』ね。英語タイトルはいまAmazonで確認したんですが。つくしが、道明寺が、類が、英語しゃべってるんです。読者として嬉しい限りです。
すぐれた作品というのは、アジアでも北米でも通用するんだなとしみじみ。諸外国でうける作品をうみだすクリエイターの層が厚いことについて、日本は誇っていいと思うのですが、誇るまでもない時代となりつつあるのかもしれない。いや、一部のスポーツ選手や俳優の世界進出で騒いでいるところをみるとまだそこまでいってないか。

欧米やアジアにおける、マンガを代表とするいまの日本のヲタクカルチャー人気って、むかしむかし浮世絵が欧米でうけたことを思い出させます。100年後には、今のマンガ作家たちは歴史の教科書にのるような存在になっているんだろうな、と。20年ほど前には国語の教科書に『マンガを読むのは悪いか』といったようなテキストがのっかっていたことを思うと時代は明らかにすすんでいる。

アメリカにおける日本コミック輸入事情については昨年の今頃の『編集会議』に知人が取材記事を書いてました。参照しようと思ったのですが行方不明。
マンガやエンターテイメント小説の輸出は、出版不況を救う救世主とならないでしょうか。栗本薫の『グイン・サーガ』も英訳版の出版がはじまりました。今は文化輸出の好機かもしれん。


==================================

東京MXテレビの『流星花園』サイト、次回予告が第4話になっていて一安心。『流星花園』をチェックするようになるまで、このテレビ局があることに気がつかなかったのだった。最近はたまにみてますがいつもテレビショッピングやってる気がする。

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2004年10月18日

『 哈日族 -なぜ日本が好きなのか-』

台湾では日本のポップカルチャーが大人気だという。今日もw-indsのチケットが台湾で23分で完売したというニュースが目を引いた。日本びいきの若者たち、 哈日族とはなにか、日本のなにが台湾の若者にうけているのかを歴史的背景とからめてある程度まとめられている。著者は台湾在住の30代フリーライター。エピローグで述べているように、本書は社会学的に客観的な統計データを挿入しようとした結果、台湾の大学院生の修士論文からの引用が多く、著者の独自の観点からの考察はそれほど多くなく、中華圏文化に興味がある者からみると正直いって物足りない。しかし、注目すべき記述はある程度見られる。

台湾の若者の日本ポップカルチャー好きはドラマからはじまったという指摘は興味深い。いわゆる「トレンディドラマ」「ポストトレンディドラマ」が90年代前半にケーブルテレビで放映されるようになり、日本の役者、音楽、生活、そのほか諸々が親しまれるようになったという。 そして哈日族は一時的なブームで終わるかとおもいきや、10年以上も続いている。

本書では2001年の台湾での韓国ドラマブームにも触れている。さらに、今後アジアの各地が流行発信源となり、ポップカルチャーが相互に流通するようになる可能性も述べられている。

首をかしげざるを得なかったのは、台湾発ポップカルチャーについて、『台湾のポップカルチャーが日本でも受け入れられることもあるのであろうか』というくだりである。エピローグの章は2004年の4月に書かれている。2004年10月の日本の状況はといえば、台湾発のポップグループが表紙の雑誌が一部地域で品薄になっているんである。2003年10月に「流星花園」のメールマガジンははじまっている。著者は、その気配を感じることはなかったのだろうか。そもそもこの台湾発ポップグループをみるがために台湾へわたった日本人は、2001年の初舞台の時点からいる。
もっとも、首をかしげざるを得ないのは、私がふつうの日本人よりも中華ポップカルチャーに親しんでいるからである。一般的な、メディアがターゲットとする日本人からすれば、中華圏のポップカルチャーはまだまだ視野の範囲外という状況なのかもしれない。

また、『台湾ドラマはしばしば「女性の献身、貞節、忠誠」が強調されて古くさい』という記載もある。だとしたら、2001年の『流星花園』はかなり画期的だったのではなかろうか。先日のNHKの中国語講座で朱考天が答えていたように、なにもかもが新しかったのかもしれない。
残念ながら本書では『流星花園』についての記述はない。台湾のドラマで若者にうけたドラマとしては、本書ではサスペンスドラマ一作が挙げられている。この日本のコミックを原作とする傑作ドラマがなんで抜け落ちるんだ、と疑問に思ってしまうのはただの迷だからだろうか。

ある国にいても、その国の大衆にうけているもの、話題になっているものは案外目につかないのかもしれない、と、私の個人的な経験から思いもする。興味の範囲外のものは抜け落ちてしまう。所詮インテリのお客さんなのである。

『流星花園』以前の台湾のテレビドラマが、本書が述べているようにお寒い状況だったとしたら、台湾ドラマブームが日本を席巻するのはかなり厳しいだろう。日本で話題になっているのはF4関連のドラマばかり。これだけだと、いずれ底をつく。F4以外の台湾のタレントが日本人の心をとらえるかどうかもポイントだろう。
もっとも、台湾だけでなく大陸まで含めた「漢流」ブームの可能性はなきにしもあらずだが。


『 哈日族 -なぜ日本が好きなのか-』 
酒井亨 著 光文社新書  2004年5月 700円
posted by 夏居 at 01:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 単行本・マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年10月13日

『<美少女>の現代史』

男性からみた「美少女」をキーワードにしたマンガ論および現代日本文化論である。「視線としての私」についてさいごに少し触れられているところが気になり、通読する。

一般的に女性は男性よりも視線をあびる客体であることを意識する機会が多いのに対し、男性は女性の視線をうけとめることに慣れていないことが指摘されている。実体をもたない「視線としての私」である男性読者にとっての美少女キャラが蔓延する。そして「萌え」という行動が生じる、というのが本書の趣旨であろう。その中で、最近では女性も「視線としての私」として、男性を見る立場に行動を拡大させつつあることも、戦隊モノにでてくるイケメン俳優人気などを例に触れられている。

さて、中華明星や韓国俳優に対して日本人女性ファンは、「萌え」の状態といってよろしい。もちろん、日本人の芸能人を熱心に応援する日本人女子も多い。しかし、中華明星迷やら熱烈な韓国俳優ファンには、いわゆる「ヲタ」のにおいがつきまとう。もっともヲタ=「おたく」に対して最近では、宮崎勤事件のころのネガティブな印象はうすれ、文化を支えている当事者という認識が優勢になってきつつある。

異文化圏に対する方が、対象をよりキャラクター化しやすく、「視線としての私」の立場を獲得しやすいのではなかろうか。女性の場合、社会的に「客体としての自分」でもあることから、視線をそそぐ先をずらすことが多くなりがちになる、ともいえる。このあたり、虚構の世界であるタカラヅカのファンにも相通ずるものがある。

======================================

私にしても、「日本のコミックからアジアを代表するポップグループがうまれたという現象がおもしろい」なんて理屈をいっているが所詮「F4萌え~」の一言で片づけることができるのである。


『<美少女>の現代史』
ササキバラ・ゴウ 講談社現代新書 2004年5月 700円
posted by 夏居 at 01:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 単行本・マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年12月06日

『部屋においでよ Come to My Place』はじまりました

F4全員脇役で出演という粋なドラマ『来我家[口巴]』がBS日テレではじまりました。本屋で原秀則の原作文庫本が「BS日テレでドラマ化」とか帯かけて売られていたが、いいんだろうか。ドラマ化はドラマ化でも台湾でってことをひとことも断らなくても。

『花様年華』やら『少林サッカー』やらアラーキーの写真集やら、小物が楽しい。仔仔の主題歌もよろしいです。主人公の同級生の一人に『流星花園』の青池和也くんをやった役者さんが扮している。第一話ではヴァネと旭がでてきた。


さてはて。巷で話題になっている『F2A』なる雑誌、渋谷のタワレコにはNo.4は数冊あったがNo.5は品切れとのこと。考天効果だ、きっと。
タワレコの近所の中華屋さんにドラマ『薔薇之恋』について問い合わせるも、お店の方には初耳だったよう。日本でF4に続くのは、鄭元暢か祐祐かと踏んでるんだが、まだ早すぎるのか。
通販で入手できないこともなさそうだが、うむ。
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2004年12月05日

『中国魅録 「鬼が来た!」撮影記録』

カンヌ大好き日本人、カンヌ映画祭で賞を取った映画は結構話題になって大々的に宣伝される。『鬼子来了! (鬼が来た!)』は2000年のカンヌ映画祭でグランプリを取ったのに、主演は日本人の香川照之というのに、地味に単館で上映されておわってしまった作品である。
そりゃそうだよな。中国人が監督で、第二次世界大戦中の日本軍の兵隊が主人公だもんな。戦争やって上陸している中国で、農村に住み込んでとけ込んでしばらく生活したんだけど、やっぱり日本軍に帰っていく、てな話だもの。別に反日映画ってわけでもないけど、戦争の狂気はしっかり描かれてる、と私は思うんだが、戦時中の日本軍がなにをやったかって話は結構デリケート。このご時世、派手に宣伝するのは難しかろう。

さてはて映画の内容はおいといて、撮影中ぶち切れそうだった香川照之による日記をまとめたのが本書。4ヶ月、中国人スタッフらと共に過ごしたというが、日本の映画撮影の常識はまったく通用しない世界なんである。
読むだにすさまじい。衣装をなくす衣装部だとか、オートリバースのカセットテープレコーダーの使い方がわからない助監督だとか。言葉は通じず通訳はいい加減。宿ではお湯がでたりでなかったり、メイドたちは客の歯ブラシを捨ててその上に痰をはくありさま。映画ではロバと馬のファックシーンがでてくるが、これは合成ではなく、媚薬を使って無理矢理撮影したものだという。そんな現場を一人で仕切っていたのが監督の姜文。
中国おそるべし、なんである。無茶苦茶な人たちから映画が生まれる過程が記録されている。

国情のちがいというのはまだまだあって、それらは明らかに画面にあらわれる。東アジアといえども文化の違いやら人の考え方の違いというは少なからずある、というのはあちこち旅行していても感じられることである。仕事として滞在するとそれらの違いがストレスとしてのしかかるというのは当然のことであろうが、そのストレスを映画にとりこんで昇華させる手法には恐れ入る。おそらくは結果的なものなんだろうけど。

香川照之、常に怒ってるんだが、一方で映画への愛情のようなものが伝わってくる。その情熱に呑まれてもう一度、『鬼が来た!』を見たくなってくるのであった。



『中国魅録 「鬼が来た!」撮影記録』
香川照之 著 キネマ旬報社 2002年4月(本体 2000円)
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2004年11月12日

『日記-「ヘブン・アンド・アース」中国滞在録』ひょっとすると映画よりも面白い撮影日記

アジアの映画やらドラマやらに、日本の役者が出演するのは珍しいことではなくなっている。『ヘブン アンド アース (天地英雄)』には中井貴一が準主役で出演していた。
中井貴一といえば、最近ノースウエスト航空の機内誌にでてたのを思い出す。オレゴンはすばらしい、というテーマのえらく気障な記事であった。結婚してどうのこうの、ってのろけまくってるし。質のいい売れ筋の映画やドラマに多数でている、騒がれすぎることもなくてそこそこ売れてる順風満帆な二枚目二世俳優という認識は、たぶん一般的なものだろう。

が、『ヘブン アンド アース (天地英雄)』では中国人のスタッフ、キャストの間に日本人一人放り込まれて、かなり苦労したらしい。
中井貴一は撮影当時の日記を軸にした体験記を著している。映画の撮影過程、本人の焦燥感、中国人キャストやスタッフの様子が記録されている。秘密主義の監督への不信感とか、主演女優のヴィッキー・チャオがおこした騒動とか、中国側の関係者には読めないから書けるんだろう、というような裏事情満載。
内容の面白さもさることながら、過酷な環境であっても自分の役をやりとげるのがプロの俳優である、というわけで中井貴一を見直したのであった。タレント本の枠にとどまらず、一体験記として読める内容の濃い本である。

日本の役者が他のアジア各国の映画やドラマに出演すること、最前線にいる当事者にとってはまだまだ大変なことのようだ。言葉の問題は大きい。さらに国によるやり方のちがい、というのがあるわけで、でもそれを乗り越えようとする過渡期が現在であるわけで、なかなかよい時代を共有している、といえる。今は日本の役者が他の国の作品に出演する場合が多いが、そのうちアジア各国の役者が、日本の作品で活躍することが多くなるかもしれない、と思うとなかなか楽しい。

『ヘブン アンド アース (天地英雄)』(2004年 2月)は中国歴史物大作映画である。主役をはっているのはヂァン・ウェン(姜文)おじさん。力作であるが、最近この手の映画、多いのである。ポイントは、やっぱり日本人が準主役で出ずっぱりのところか。


『日記-「ヘブン・アンド・アース」中国滞在録』
中井貴一 著 キネマ旬報社 2004年2月  1575円 
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2004年11月09日

惣領冬実の『MARS』

F4迷の間で話題の、仔仔主演の台湾ドラマ『戦神(MARS)』の原作となるマンガである。強烈なおすすめがあり、全15巻一気に読んだ。第15巻は出版社にも在庫がないとかで、マンガ喫茶にて。

単行本表紙をひんぱんに飾っているのが主人公の零。不良っぽくていい男でプロとして通用するバイクレーサーでもある彼と、やや陰気で絵の才能がある女の子キラの恋物語。二人は高校生で、零を好きな女やキラを好きな男がでてきて、そして話が進むにつれてやがて、、、と少女マンガの王道をいく物語なのであった。対象年齢は中学生~高校生か。
バイクシーンはとても魅力的なのだが、それよりも主人公二人が抱き合ったりいちゃいちゃしているシーンのほうが印象的だったりする。惣領冬実の絵柄は甘く、この作家らしいザ・少女マンガの世界を築く。
双子、精神的な傷、複雑な家庭環境などが、上手にとりいれられているものの、これらにコマの外までにじみでるほどの重さはない。主題にするにはあまりにも正面から描きすぎているためであろう。ラブストーリーとして素直に読むべき作品であり、それ以上の深みを求めるにはもの足りない。伏線のはり方、だんだんと主人公たちのバックグラウンドが明らかになっていく話の進め方はわかりやすい。主題ではないものの、これらは読み出したらやめられない力を作品に与えている。

ドラマティックな素材を扱いながらその重さがないぶん、実写化版には期待ができる。台湾ドラマの動画を見る限りでは重厚感があり、仔仔扮する零は原作通りの恵まれた体躯・長髪のいい男で全く違和感がない。まさか、これで高校生という設定ではないと思うが。
台湾ではこのドラマ、このたび放映終了した模様。日本でもDVDなど入手すれば見えるのだが、未見。BS日テレが字幕をつけて放映してくれるのを待つか、どうするか。
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2004年10月23日

『Boys Over Flowers』です

先日、アメリカの地方都市にいったんですが暇をみつけて本屋さんをチェックしてました。本屋さんは何件かありましたが、うちショッピングモールにはいっている本屋さん、-といっても中規模のワンフロア店ですが-、がASIAN Comic - mangaが充実してました。フェアをやってて3冊買うと少し値引きしてた。

ASIAN Comicとしましたが、韓国の作者によるものが数シリーズあったくらいで、95%が日本のマンガです。1冊10ドル弱くらい。コミックは長いものだと数十巻におよぶことを考えると結構なお値段です。有名作品が英訳されてペーパーバックとなっているのですが、吹き出しの中のフォントがちゃんとコミックのフォントになっていたり、擬音も英訳されていたりして、絵柄はもちろん日本語版と同じなんですが、ずいぶん印象がかわっています。デザイン的にアメリカナイズされて、クールにはまってます。日本でいう奥付部分をみるとアメリカ人のエディターがクレジットされています。

だんぜん多かったのが高橋留美子。『犬夜叉』はフィギュアも売られていました。副読本(というのか?)のアニメ制作現場についての本まで英語版がでていた。ほかに記憶にあるのは、吉田秋生『BANANA FISH』、井上雄彦『SLAM DUNK』、竹内直子『セーラームーン』、あとCLAMP、鳥山明、などなど。日本でメジャーな作品ばかりです。マンガの描き方の本も並んでいました。

『花より男子』もありました。『Boys Over Flowers』ね。英語タイトルはいまAmazonで確認したんですが。つくしが、道明寺が、類が、英語しゃべってるんです。読者として嬉しい限りです。
すぐれた作品というのは、アジアでも北米でも通用するんだなとしみじみ。諸外国でうける作品をうみだすクリエイターの層が厚いことについて、日本は誇っていいと思うのですが、誇るまでもない時代となりつつあるのかもしれない。いや、一部のスポーツ選手や俳優の世界進出で騒いでいるところをみるとまだそこまでいってないか。

欧米やアジアにおける、マンガを代表とするいまの日本のヲタクカルチャー人気って、むかしむかし浮世絵が欧米でうけたことを思い出させます。100年後には、今のマンガ作家たちは歴史の教科書にのるような存在になっているんだろうな、と。20年ほど前には国語の教科書に『マンガを読むのは悪いか』といったようなテキストがのっかっていたことを思うと時代は明らかにすすんでいる。

アメリカにおける日本コミック輸入事情については昨年の今頃の『編集会議』に知人が取材記事を書いてました。参照しようと思ったのですが行方不明。
マンガやエンターテイメント小説の輸出は、出版不況を救う救世主とならないでしょうか。栗本薫の『グイン・サーガ』も英訳版の出版がはじまりました。今は文化輸出の好機かもしれん。


==================================

東京MXテレビの『流星花園』サイト、次回予告が第4話になっていて一安心。『流星花園』をチェックするようになるまで、このテレビ局があることに気がつかなかったのだった。最近はたまにみてますがいつもテレビショッピングやってる気がする。

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2004年10月18日

『 哈日族 -なぜ日本が好きなのか-』

台湾では日本のポップカルチャーが大人気だという。今日もw-indsのチケットが台湾で23分で完売したというニュースが目を引いた。日本びいきの若者たち、 哈日族とはなにか、日本のなにが台湾の若者にうけているのかを歴史的背景とからめてある程度まとめられている。著者は台湾在住の30代フリーライター。エピローグで述べているように、本書は社会学的に客観的な統計データを挿入しようとした結果、台湾の大学院生の修士論文からの引用が多く、著者の独自の観点からの考察はそれほど多くなく、中華圏文化に興味がある者からみると正直いって物足りない。しかし、注目すべき記述はある程度見られる。

台湾の若者の日本ポップカルチャー好きはドラマからはじまったという指摘は興味深い。いわゆる「トレンディドラマ」「ポストトレンディドラマ」が90年代前半にケーブルテレビで放映されるようになり、日本の役者、音楽、生活、そのほか諸々が親しまれるようになったという。 そして哈日族は一時的なブームで終わるかとおもいきや、10年以上も続いている。

本書では2001年の台湾での韓国ドラマブームにも触れている。さらに、今後アジアの各地が流行発信源となり、ポップカルチャーが相互に流通するようになる可能性も述べられている。

首をかしげざるを得なかったのは、台湾発ポップカルチャーについて、『台湾のポップカルチャーが日本でも受け入れられることもあるのであろうか』というくだりである。エピローグの章は2004年の4月に書かれている。2004年10月の日本の状況はといえば、台湾発のポップグループが表紙の雑誌が一部地域で品薄になっているんである。2003年10月に「流星花園」のメールマガジンははじまっている。著者は、その気配を感じることはなかったのだろうか。そもそもこの台湾発ポップグループをみるがために台湾へわたった日本人は、2001年の初舞台の時点からいる。
もっとも、首をかしげざるを得ないのは、私がふつうの日本人よりも中華ポップカルチャーに親しんでいるからである。一般的な、メディアがターゲットとする日本人からすれば、中華圏のポップカルチャーはまだまだ視野の範囲外という状況なのかもしれない。

また、『台湾ドラマはしばしば「女性の献身、貞節、忠誠」が強調されて古くさい』という記載もある。だとしたら、2001年の『流星花園』はかなり画期的だったのではなかろうか。先日のNHKの中国語講座で朱考天が答えていたように、なにもかもが新しかったのかもしれない。
残念ながら本書では『流星花園』についての記述はない。台湾のドラマで若者にうけたドラマとしては、本書ではサスペンスドラマ一作が挙げられている。この日本のコミックを原作とする傑作ドラマがなんで抜け落ちるんだ、と疑問に思ってしまうのはただの迷だからだろうか。

ある国にいても、その国の大衆にうけているもの、話題になっているものは案外目につかないのかもしれない、と、私の個人的な経験から思いもする。興味の範囲外のものは抜け落ちてしまう。所詮インテリのお客さんなのである。

『流星花園』以前の台湾のテレビドラマが、本書が述べているようにお寒い状況だったとしたら、台湾ドラマブームが日本を席巻するのはかなり厳しいだろう。日本で話題になっているのはF4関連のドラマばかり。これだけだと、いずれ底をつく。F4以外の台湾のタレントが日本人の心をとらえるかどうかもポイントだろう。
もっとも、台湾だけでなく大陸まで含めた「漢流」ブームの可能性はなきにしもあらずだが。


『 哈日族 -なぜ日本が好きなのか-』 
酒井亨 著 光文社新書  2004年5月 700円
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2004年10月13日

『<美少女>の現代史』

男性からみた「美少女」をキーワードにしたマンガ論および現代日本文化論である。「視線としての私」についてさいごに少し触れられているところが気になり、通読する。

一般的に女性は男性よりも視線をあびる客体であることを意識する機会が多いのに対し、男性は女性の視線をうけとめることに慣れていないことが指摘されている。実体をもたない「視線としての私」である男性読者にとっての美少女キャラが蔓延する。そして「萌え」という行動が生じる、というのが本書の趣旨であろう。その中で、最近では女性も「視線としての私」として、男性を見る立場に行動を拡大させつつあることも、戦隊モノにでてくるイケメン俳優人気などを例に触れられている。

さて、中華明星や韓国俳優に対して日本人女性ファンは、「萌え」の状態といってよろしい。もちろん、日本人の芸能人を熱心に応援する日本人女子も多い。しかし、中華明星迷やら熱烈な韓国俳優ファンには、いわゆる「ヲタ」のにおいがつきまとう。もっともヲタ=「おたく」に対して最近では、宮崎勤事件のころのネガティブな印象はうすれ、文化を支えている当事者という認識が優勢になってきつつある。

異文化圏に対する方が、対象をよりキャラクター化しやすく、「視線としての私」の立場を獲得しやすいのではなかろうか。女性の場合、社会的に「客体としての自分」でもあることから、視線をそそぐ先をずらすことが多くなりがちになる、ともいえる。このあたり、虚構の世界であるタカラヅカのファンにも相通ずるものがある。

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私にしても、「日本のコミックからアジアを代表するポップグループがうまれたという現象がおもしろい」なんて理屈をいっているが所詮「F4萌え~」の一言で片づけることができるのである。


『<美少女>の現代史』
ササキバラ・ゴウ 講談社現代新書 2004年5月 700円
posted by 夏居 at 01:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 単行本・マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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