2004年10月26日

『ライス・ラプソディー (海南鶏飯)』

東京国際映画祭です。六本木ヒルズって、いくたびに砂上の楼閣という言葉が頭に浮かぶんですが、世界から俳優女優監督プロデューサーそのほか関係者がやってくる映画祭の雰囲気と一致しています。あちこちにはられたポスターが気持ちいい。映画は一瞬の夢を見る娯楽だもんね。さて、本日は『ライス・ラプソディー』(海南鶏飯)という作品をみてきました。

主人公はシンガポール一の海南鶏飯屋さんの女主人のお母さん。海南鶏飯とはシンガポール名物のチキンライスのことである。3人のお年頃の息子がいるがどうも3人ともゲイらしい。お母さんとしては、せめて高校生の三男だけでも女性と結婚して孫を見せてくれないか、と考えるわけだが、さていかに、というおはなし。フランス人の女の子をホームステイさせたり、彼女に惚れてる近所のおじさんが海南鴨飯を開業したり、魅力的な登場人物たちが物語を賑やかに展開していく。脇役となる長男、次男の恋の進展も楽しい。
同性愛を扱った映画には見応えがある佳作が多い。愛情に対して繊細に向き合わざるを得ないからだろう。この作品も例外ではない。ゲイをテーマにしたほかの作品のほとんどが当事者を主人公にしているのに対して、この作品は、ゲイの息子をもつ母親を主人公にしているところが斬新で、そしてその設定は成功している。決して頭の固い母親ではない。でも母親としての希望や我だってある。息子たちを愛する現代的な母親だ。この母親をシルビア・チャンが熱演している。
舞台がシンガポールというのもいい。登場人物たちは英語と北京語を話す。自転車、水、と、熱帯の都会・シンガポールに似合うモチーフが効果的に使われていて、アーティスティックな映像も嫌みになっていない。音楽は日本の川崎真弘。
今日的なテーマを真面目に扱っているのに、軽やかで見終わったあとも爽やか。派手な作品ではないが、マニアックすぎる作品でもない。これから、Bunkamuraや岩波ホールなどで上映される可能性は大きい。『女人・四十』がいけたんだから、これもいけるはず。コンペティション部門ということだが、かなりいい線いくだろう。映画祭らしい映画でもある。

と、ベタ褒めしていますが、上映後のティーチ・インが楽しかったことも好印象の所以です。監督のケネス・ビィ、主演のシルビア・チャンにマーティン・ヤン、音楽の川崎真弘にエグゼクティブ・プロデューサーのロサ・リーと豪華な顔ぶれ。司会の紹介の前にみんなで前にでてきてしまったり、なごやかな雰囲気でした。
ケネス・ビィはまだ30代でしょうか。ちょっとWEBをひいたら、かのフルーツ・チャンの『花火降る夏』の音楽やってたとかで、映像感覚に納得しました。英語と北京語のセリフの書き分けをどうやって決めたのかについては、あんまし意識していなかったらしい。
作品タイトルについては人それぞれ意見があるようですが、私としては中国語タイトル、英語タイトルともこれでよいと思う。英語タイトルはたしかにわかりにくいかもしれないけど、チキンライス・ラプソディーじゃないしねぇ。日本語タイトルがこれからどのようなものになるのか、楽しみです。
特筆すべきはやっぱりシルビア・チャン。ショートカットで頭が小さくてかわいいの。スタイルはいいけど背が高い、というわけでもない。赤いショールはもってましたが、黄緑色のカットソーにパンツスタイルと、ラフなスタイルで大女優然としたところはなし。でも、ぼーっと座っていても常にみられる立場にある人はなにかが違う。亜週明星総覧によりますと、1953年生まれの大女優です。監督やったり、香港の金像賞で最優秀女優賞もらったり、けっこうなキャリアです。年齢なんて意味ないです。ロサ・リーもきれいな人で、おそらく年齢的にはシルビアより下でしょうが、人前にでると、女優とプロデューサーでは微妙になにかが違う。

このような監督・出演者を前に映画を語る場に、一般の映画好きが紛れ込むことができる映画祭はやっぱりたのしい。
最前列は報道陣で、うち8割方以上は女性でした。

帰りに麻布の海南鶏飯屋に立ち寄ろうかとふらついたが場所をうろ覚えでたどり着けず。映画に料理をからめるのは常套手段であるが、人間の別の欲求を刺激することは確か。

『ライス・ラプソディー (海南鶏飯)』
監督:ケネス・ビィ 2004年
posted by 夏居 at 01:28| Comment(0) | TrackBack(1) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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Excerpt: ひとまず前半4日間終了ということで、作品の反響などが気になるところですね。 行かれた方々のブログを拝読して、追体験したり、チケットや時間の都合で観ることが叶わぬ作品をフォローさせてもらっております。..
Weblog: 観映網
Tracked: 2004-10-27 07:29

2004年10月26日

『ライス・ラプソディー (海南鶏飯)』

東京国際映画祭です。六本木ヒルズって、いくたびに砂上の楼閣という言葉が頭に浮かぶんですが、世界から俳優女優監督プロデューサーそのほか関係者がやってくる映画祭の雰囲気と一致しています。あちこちにはられたポスターが気持ちいい。映画は一瞬の夢を見る娯楽だもんね。さて、本日は『ライス・ラプソディー』(海南鶏飯)という作品をみてきました。

主人公はシンガポール一の海南鶏飯屋さんの女主人のお母さん。海南鶏飯とはシンガポール名物のチキンライスのことである。3人のお年頃の息子がいるがどうも3人ともゲイらしい。お母さんとしては、せめて高校生の三男だけでも女性と結婚して孫を見せてくれないか、と考えるわけだが、さていかに、というおはなし。フランス人の女の子をホームステイさせたり、彼女に惚れてる近所のおじさんが海南鴨飯を開業したり、魅力的な登場人物たちが物語を賑やかに展開していく。脇役となる長男、次男の恋の進展も楽しい。
同性愛を扱った映画には見応えがある佳作が多い。愛情に対して繊細に向き合わざるを得ないからだろう。この作品も例外ではない。ゲイをテーマにしたほかの作品のほとんどが当事者を主人公にしているのに対して、この作品は、ゲイの息子をもつ母親を主人公にしているところが斬新で、そしてその設定は成功している。決して頭の固い母親ではない。でも母親としての希望や我だってある。息子たちを愛する現代的な母親だ。この母親をシルビア・チャンが熱演している。
舞台がシンガポールというのもいい。登場人物たちは英語と北京語を話す。自転車、水、と、熱帯の都会・シンガポールに似合うモチーフが効果的に使われていて、アーティスティックな映像も嫌みになっていない。音楽は日本の川崎真弘。
今日的なテーマを真面目に扱っているのに、軽やかで見終わったあとも爽やか。派手な作品ではないが、マニアックすぎる作品でもない。これから、Bunkamuraや岩波ホールなどで上映される可能性は大きい。『女人・四十』がいけたんだから、これもいけるはず。コンペティション部門ということだが、かなりいい線いくだろう。映画祭らしい映画でもある。

と、ベタ褒めしていますが、上映後のティーチ・インが楽しかったことも好印象の所以です。監督のケネス・ビィ、主演のシルビア・チャンにマーティン・ヤン、音楽の川崎真弘にエグゼクティブ・プロデューサーのロサ・リーと豪華な顔ぶれ。司会の紹介の前にみんなで前にでてきてしまったり、なごやかな雰囲気でした。
ケネス・ビィはまだ30代でしょうか。ちょっとWEBをひいたら、かのフルーツ・チャンの『花火降る夏』の音楽やってたとかで、映像感覚に納得しました。英語と北京語のセリフの書き分けをどうやって決めたのかについては、あんまし意識していなかったらしい。
作品タイトルについては人それぞれ意見があるようですが、私としては中国語タイトル、英語タイトルともこれでよいと思う。英語タイトルはたしかにわかりにくいかもしれないけど、チキンライス・ラプソディーじゃないしねぇ。日本語タイトルがこれからどのようなものになるのか、楽しみです。
特筆すべきはやっぱりシルビア・チャン。ショートカットで頭が小さくてかわいいの。スタイルはいいけど背が高い、というわけでもない。赤いショールはもってましたが、黄緑色のカットソーにパンツスタイルと、ラフなスタイルで大女優然としたところはなし。でも、ぼーっと座っていても常にみられる立場にある人はなにかが違う。亜週明星総覧によりますと、1953年生まれの大女優です。監督やったり、香港の金像賞で最優秀女優賞もらったり、けっこうなキャリアです。年齢なんて意味ないです。ロサ・リーもきれいな人で、おそらく年齢的にはシルビアより下でしょうが、人前にでると、女優とプロデューサーでは微妙になにかが違う。

このような監督・出演者を前に映画を語る場に、一般の映画好きが紛れ込むことができる映画祭はやっぱりたのしい。
最前列は報道陣で、うち8割方以上は女性でした。

帰りに麻布の海南鶏飯屋に立ち寄ろうかとふらついたが場所をうろ覚えでたどり着けず。映画に料理をからめるのは常套手段であるが、人間の別の欲求を刺激することは確か。

『ライス・ラプソディー (海南鶏飯)』
監督:ケネス・ビィ 2004年
posted by 夏居 at 01:28| Comment(0) | TrackBack(1) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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Tracked: 2004-10-27 07:29
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