二人が、地位と貫禄と引き替えに失ったのが若さ。こればっかりは、どうしようもない。そこで、ショーン・ユーとエディソン・チャン。ラブ・シーンがショーンのみなのも、前作をなぞるよう。
シンプルで慎ましかった前作に比べて、本作のセット・衣装は豪華。ファッション映画といっていい。若手2人も、オレンジ系の鮮やかでお洒落な衣装をカジュアルに着こなしている。ストーリーにあまり起伏がなく、やや雑なのに画面にひきこまれるのは役者たちと美術の美しさによる。たしかに、これまでの香港映画にはちょっとなかったタイプの映画である。監督は誰かと思えば、新人のウォン・ジンポー。
それにつけても、『ベルベット・レイン』という邦題は見事。英語タイトルは江湖の読みそのまんまのJiang Hu だから、これは日本の配給会社ががんばったものと思われる。大人二人がスクリーンで着こなし、日本でも街で流行りのベルベットに、ラストシーンの雨。
大きい映画を出世しなかったよ。