三十前の台湾大学医学部卒のプータローとテレビCMに出演するくらいのレズの美少女女子高生の不思議な関係なんだが、これは恋愛なのかなんなのか。よくわかんないうちに主役の男は清掃車にぶつかって倒れていて、美少女はバスにのって別れの手紙を書いている。
主役の男は妙に首が長くてだらしないん風貌なんだが、途中ブランドものの衣装で固めてあらわれるとそれなりにきまってみえるのがおかしい。演じているのは『藍色夏恋』のイー・ツーイェン監督なのだった。『藍色夏恋』メイキングにでてくる姿とは体格が完全にちがっていて、別人にしかおもえないが。音楽が極端に少ないこと、レズを自称する女子高生などは、『藍色夏恋』につながる。
なんで台湾の映像作品って映画とテレビドラマでこんなにテイストが違うのか。映画は完全にお芸術の世界にいっている。どの作品も監督や撮影のこだわり満載。画面はいつも淡くぼんやりしていて懐かしい感じ。音楽もほとんど使われない。同じお洒落系難解映画でも香港の王家衛による『恋する惑星』や『天使の涙』が大成功したのは、音楽の使い方がポップなことが理由のひとつであろうと、本作や一連の台湾映画を見ることによって思い至る。
対して『流星花園』以降のテレビドラマはわかりやすいエンターテイメントを突っ走っているらしい。画面はすっきりはっきり。映画界とテレビ界で映像関係者の行き来はないのか。日本で公開される台湾映画に偏りがあるだけなのか。どうでもいいけど、謎。
『恋愛回遊魚』
監督:ウー・ミーセン 2000年 台湾