2004年11月30日

『烈愛傷痕』最終回

全3回、無事終了いたしました。第3話はストーリーを楽しむ回。兄と弟、カレン・モクはどちらを選ぶのかってところが見所。全10回くらいになりそうな、もっとひっぱってしかるべきお話でしたがあっさり終了。『流星花園』直後のジェリーはともかく、カレン・モクと学ちゃん使ってればスケジュールが難しいか。

結局カレン・モクが主役のドラマではありますが、旭君の変化がちゃんとわかるようにつくってあります。第一話では可愛い18歳の高校生、第二話ではひねた大学生、第三話ではしっかりした大人に成長、と。ベテラン二人に胸を借りて旭君、しっかりこなしてます。第三話では、でも妙なコートきたりマフラーしたまま仕事してたな。

閑話休題。『流星花園』について、あまりにも素敵な形容とイラストに遭遇。貴女は「もっさり濃い」のを受け入れられるか。ここが分かれ道なんである。

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2004年11月29日

台湾版ドラマ『薔薇のために』見たいぞ。

『流星花園〜花より男子〜』メルマガをつらつらみてたら、
「『薔薇之恋』 台湾版エミー賞The Golden Bell Awards 受賞」なる記事。可米制作有限公司おそるべし。吉村明美の『薔薇のために』までドラマ化してたとは。

『薔薇のために』は、太っていて不細工な少女が祖母を亡くして母親が実は売れっ子女優であることを知り、美形だけど性格の歪んだ兄姉たちと暮らし始めることからはじまる壮大な物語なんである。主人公は怠け者で離婚歴のある姉、青い目のやたらハンサムで死んだ婚約者を想い続ける兄、女性と見まがうばかりの容貌でオカマの弟、みな父親が違うらしい。兄弟たちに最初家政婦扱いをされていた少女は、いつの間にか皆に愛されるようになっていく。
典型的少女マンガの絵柄をベースにし、コメディ、ロマンス、ミステリをつめこみながらも、家族とか愛とか幸福とかいうテーマに直球勝負で挑んで成功し、なおかつバランスがとれている希有な作品と、私は勝手に評価している。次々と新たな登場人物を投入することによる手を替え品を替えのドタバタコメディをつづけながら、主人公である少女のロマンスと出生の謎解きミステリが進展していくので、文庫本で9巻と結構な長さがある。
80年代にバリバリのフェミニズムマンガ『麒麟館グラフティー』を描いた作者が、90年代になって向かった先は「無償の愛」なのだった。両作品とも「女の幸せ」をテーマにしているんだが、時代の変化か作者の変化か。

この作品も『花より男子』同様熱烈なファンが多い。台湾にも原作ファンページがあるのを発見したのは2003年2月のこと。
2003年制作のこのドラマ、テレビ局のWEBサイトの登場人物紹介をみてみれば、やっぱり原作忠実路線らしいことが伺える。主人公の百合はS.H.E.のElla、可愛いアイドルのはずだが原作イメージ通りのおかっぱ頭の冴えない子になっている。残念ながら写真を見る限り、主人公が思いを寄せる兄・菫に黄志[王韋]は平面的な顔が苦しいかも。長姉の芙蓉、芙蓉を口説く漫画家猫吉はなかなかよろしい。無茶苦茶期待できるのが、弟・葵の鄭元暢。長髪で女の子っぽくて、でもカッコよくて原作そのまんま。主人公を振り向いてもらえないながらも明るく守り続け、原作でいちばん人気のキャラクターだったのが葵だったけど、鄭元暢もこの作品で大人気になったとか。かなり気になるぞ。

これは見たいぞ。いかん、これは『流星花園』をみはじめる前の状態である。日本でもまずスカパー!の中国語チャンネル(楽楽チャイナ)で放映するらしい。
1年以上放置されているとみられるコミックリズの日本語ページをみるに『ツルモク独身寮』やら『流星花園』をきっかけに、日本で人気のマンガがやたらドラマ化されているよう。台湾のページは現在つながらず。
日本で今、韓流に夢中な人たちが中国語ドラマにも手を伸ばす可能性は大きいとみる。わりと近い将来に日本語字幕つきで見えるんでないかと期待。
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2004年11月27日

F4 mania now spread to Japan.

韓国で Asia Song Festival とかいうイベントがおこなわれていて旭除いたF4がでるってんで久々にニュース検索。
「F4 mania now spread to Japan」とな。 中国語の仔迷サイトのBBSの書き込みですが、「F4迷日本に増殖」といったところか。BSfanの画像を差して「too old」とか、楽しいことになっている。日本語以外のF4掲示板、いずこも日本での流星花園ブームが話題になっていることでしょう。

そういえば先日レンタルビデオ屋にて、『流星花園』DVDを熱心にチェックしている二十代女子1名発見。東京でもMXテレビのお陰か、貸し出し状況は順調な様子。

よんさま(しつこく”さま”は敬称ではない)人気も最高潮か。韓流ブーム、なんだか一時のエヴァンゲリオンブームを思い出すのは私だけか。いつまでつづくか、しかし大衆が一つのものに熱狂するのが長く続かないってのは健全である、と思ったり。サッカーワールドカップといい、テレビ・映像を元にしたブームにはものすごく力があって、ブームが去った後もなにかを残している。

なお、検索の結果、ブランドものリュックを背負った刈り上げヴァネスに無事遭遇。うーん。。。

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2004年11月24日

『柔道龍虎榜』日本での公開おそらく未定のところになんですが

平日昼間、お仕事を抜け出して東京フィルメックスへ。『柔道龍虎榜』、月曜夜のチケットがとれなかったんで本日昼に鑑賞。月曜のチケットはあっという間に売り切れたとか。監督はジョニー・トー(杜[王其]峰) だし、出演者にルイス・クー、あーろん、こはる、カーファイとくれば、傑作を期待するのが香港電影迷というもの。

なのに、なんでこうなるのやら。なんで柔道なのか。黒社会がでてくるのか。タレント志望の女の子を登場させる必然性はどこにあるのか。結局なんなのやら。柔道を素材にした目の付け所は悪くないのに消化できてない。黒澤明でなくってアテネオリンピックに触発されて3日でつくったんと違うか、とつっこみたくなったのは私だけか。香港公開は7月8日ということなんでさすがにそれはないはず。

そうか、ジョニー・トーっていうんで『ザ・ミッション 非情の掟』とか『暗戦 デッド・エンド』を期待した私が悪かった。そういえばジョニー・トーってイーキンがマジシャンになる『暗戦 リターンズ』なんてのも撮ってたし。
純粋に香港オバカ映画として見れば、夜の路上でみんなでスーツ着て組み手やってたりして楽しい。あーろんの髪型はマンガチックだし。黒澤明の『姿三四郎』を見た上で見ればそれなりに見所満載なのかもしれないし。
でも、この作品をひっさげて「香港映画最前線~鬼才ジョニー・トーの映画術」って、いいのか。


『柔道龍虎榜』
監督:ジョニー・トー(杜[王其]峰) 香港 2004年
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2004年11月23日

「神話」と「F4」の個体認識

巷では「東方神起」が話題のところ、いまさら「神話」勉強中である。何故って、たまたまCDを借りたから。とりあえず『白鳥の湖』(曲のタイトルは『T.O.P.』)は傑作。

それなりに解説読んだり、ネットサーフィンしてるんだが今ひとつ個体認識がおいつかない。とりあえず固有名詞はいくつか覚えた。えっと、ドンゴン、アンディ、ヘソン、と空でいえるのは半分か。韓国にこの手のグループは多々あれど、神話に関しては異例に各人ソロ活動が活発で各自個性を発揮しているらしいが、よくわからん。なんだか脳内がこの間みたジャニーズJrとおんなじ状態になっているぞ。

こんな私がF4の個体認識に成功したのは、ドラマ『流星花園』があった故であることを再認識するのであった。認知する初期段階で、役の上での性格が本人のキャラクターになったんですな。華やかなジェリー、美少年の仔仔、運動神経よさげなVanness、のーっとしたKenという具合。これらは認知第一段階のことです。念のため。
どこかにF4はみんなロン毛で誰が誰やらよくわからん、というコメントがあったが、『流星花園』みていないとそうであろうぞ。

日本で一番有名なK-POPグループがおそらく「神話」だと思うんだが、F4と比べて日本語のインターネットサイトが格段に少ないのは何故なのか。YAHOO!の登録サイトは3つのみ。内容も各F4サイトに比べて薄い。
近くのレンタルビデオ屋のCDコーナーの韓流コーナーにはドラマサントラしかおいていない。いまさらながら韓流ブームとは、韓国俳優・女優ブームのことなのだった。そりゃたしかに、『冬のソナタ』の世界に入り込んで感動する40-60代日本女性がアップテンポのK-POPのラップ聴いている姿は想像するに難しいものがありますな。
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2004年11月21日

『烈愛傷痕』第2話

『烈愛傷痕』第2話でした。BSみれるF4迷の方々は楽しまれたことと思います。
空をバックに、高いビルの屋上にたつ旭と学ちゃんの絵がよろしかった。美しい構図に、立っているのが旭。見とれました。合間に屋上からみた台北の街が映し出される。内容にあわせて、画面の作り方は『流星花園』より凝っている。映画では青緑色のことが多い台北の空が、ここではくっきり水色。

久しぶりに公式サイトをみてみれば、F4ドラマとかいうページができている。順次日本放映してくれると嬉しいんだが。

HMVの書籍売り上げ予約チャートで旭君写真集がぶっちぎり一位だそうな。DVDの『第一次影音全記録 』が音楽予約オーダー4位になってるけど、これは今時点でか。ちなみに一位は平井堅。なんだかえらいことになっているみたいな。ちなみに、わたくし両方ともまだ予約してません。
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2004年11月19日

『恋愛回遊魚』つまんない、というよりも難解

つまんない、というよりも難解な映画。話の流れを追うために画面をずっとみている必要がある。話がとぶが故に宙に足がつかないような雰囲気に仕上がっているし、ちょっとした小物やエピソードが妙に浮き出して洒落てみえたりするんで、こういうのがお好みの方にはよろしかろうが。

三十前の台湾大学医学部卒のプータローとテレビCMに出演するくらいのレズの美少女女子高生の不思議な関係なんだが、これは恋愛なのかなんなのか。よくわかんないうちに主役の男は清掃車にぶつかって倒れていて、美少女はバスにのって別れの手紙を書いている。

主役の男は妙に首が長くてだらしないん風貌なんだが、途中ブランドものの衣装で固めてあらわれるとそれなりにきまってみえるのがおかしい。演じているのは『藍色夏恋』のイー・ツーイェン監督なのだった。『藍色夏恋』メイキングにでてくる姿とは体格が完全にちがっていて、別人にしかおもえないが。音楽が極端に少ないこと、レズを自称する女子高生などは、『藍色夏恋』につながる。

なんで台湾の映像作品って映画とテレビドラマでこんなにテイストが違うのか。映画は完全にお芸術の世界にいっている。どの作品も監督や撮影のこだわり満載。画面はいつも淡くぼんやりしていて懐かしい感じ。音楽もほとんど使われない。同じお洒落系難解映画でも香港の王家衛による『恋する惑星』や『天使の涙』が大成功したのは、音楽の使い方がポップなことが理由のひとつであろうと、本作や一連の台湾映画を見ることによって思い至る。

対して『流星花園』以降のテレビドラマはわかりやすいエンターテイメントを突っ走っているらしい。画面はすっきりはっきり。映画界とテレビ界で映像関係者の行き来はないのか。日本で公開される台湾映画に偏りがあるだけなのか。どうでもいいけど、謎。


『恋愛回遊魚』
監督:ウー・ミーセン 2000年 台湾
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2004年11月18日

『藍色夏恋』清く正しく美しく

女の子二人、男の子一人の完全な三角関係である。制服姿の清く正しい青少年の恋愛が描かれる。
台湾映画らしい青春映画だ。メイキングで監督は台湾映画の重くて暗いイメージを払拭したかった、といっているが、明るい感じはあまりない。暗い、ということはないんだけど切なさが強調されて、それがどこか寂しさにつながる。淡い色彩、台北の街と海辺の街、ありがちなモチーフが印象に残る。音楽もほとんど使われず、セリフも少ない。

主役の男の子(チェン・ポーリン)、女の子(グイ・ルンメイ、リャン・シューホイ)がみずみずしくて可愛い。特に、グイ・ルンメイ(桂綸[金美])。やせっぽちでどこにでもいそうなんだけど、画面での表情がいい。ショートカットで大きな目で無愛想なのが可愛いのだ。チェン・ポーリン(陳柏霖)はどこにでもいそうな等身大の男の子が、ちょっと格好良くなった感じ。台湾で人気なのは本作を観て納得できる。

カンヌで大好評だったとのことだが、おうちでDVDとしてみるのには少々退屈。映画館でぼーっとスクリーンを眺めるにはいいのかもしれない。DVDの特典映像は、映画をスクリーンで観て気に入った人ならば見る価値あり。

主人公の彼らの年頃に観たら、また違った印象を持ったかもしれないな、と。


『藍色夏恋』(藍色大門/BLUE GATE CROSSING)
監督:イー・ツーイェン (2002年 台湾)
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2004年11月17日

『オールド・ボーイ』容赦ない韓国の映画

出来映えのよい映画だ。チェ・ミンシクの熱演ぶりは、あり得ない設定をくつがえす。背中にナイフが刺さっていようと敵をぶちのめし、戦いつづけるのだ。カン・ヘジョンも、体当たりというにふさわしい演技をみせる。場面によってメークをがらりと替える彼女は、チェ・ミンシクを慕う謎めいた女の子の不思議な雰囲気にぴたりとはまる。敵はユ・ジテ。『アタック・ザ・ガスステーション』でセリフが少ないながらも存在感があった男前は、出番が少ないながらもきちんと役をわきまえた仕事をする。
全体の構成もひとつひとつの場面も計算されている。無駄がまったくない。どうして、彼は15年も監禁されていたのか。観客は最後まで、「謎」につきあうことになる。終盤の謎解きは、すこしずつ進む。そして新たな謎が問いかけられる。人がそれほど沢山死ぬ話ではないにもかかわらず、重い。
凝った作りの映画らしい映画であり、サスペンスとしての展開も上等である。

が、あまりにも救いようがない。終映後「なんかねぇ」。というつぶやきにも似た会話がちらほらきかれた。

容赦のなさがこの映画にはある。この感覚はおなじ韓国映画の『カル』や『リベラ・メ』などと同質であり、韓国映画しかもたらせえない類のものだ。
個人的趣味とは、どうも相容れない。許容範囲外なのだ。ことばにしてしまうと、げんなりする、ということになる。もっとも平気な人、もしくはこういったものを好む人もいるかもしれない。もちろん隣の国の文化を楽しんだり応援することは当たり前、しかるべきことだ。作品に対する個人の感性の問題。

どことなくヌルい香港や台湾の映画が正直、性に合う。韓流に、いまいちのれない理由はこのあたりにあるのだろう。といいつつ部屋にイ・ビョンホン氏の写真集があるのは何故。


『オールド・ボーイ』
監督:パク・チャヌク (韓国 2004年)
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2004年11月16日

SARSに負けるな『1:99電影行動』

昨年の春、香港はSARSの流行で大きな痛手をうけた。
香港電影工作者總會が企画した、SARSに沈む香港社会を励ますことを目的にしたキャンペーンフィルム集である。本編より長いメイキングがはいっており、冒頭をエリック・ツァンによる香港電影金像賞授賞式の司会のことばが飾る。
「イラクでの戦争、レスリー・チャンの死、SARS、、世界に暗雲がたちこめた。司会は勘弁してくれ、と大会実行委員長に電話した。そんなとき、SARS感染から生還した医師が仲間の医師に協力を要請し医療現場に戻る姿があった。後戻りはできない。式典を決行します」(要約)。
社会が困難に立ち向かっているとき、それぞれが自分の仕事をやりとげることの大切さを伝えるスピーチは感動的であり、本作品集の意図を十二分に伝える。街が伝染病に見舞われるというのがどれほど大変なことか、にもかかわらず立ち向かう香港の人たちの意気込みが、この作品集から伝わってくる。

15人の監督による11編のショートフィルムがおさめられている。香港映画好きならば、あの作品を撮った人、とすぐ頭に浮かぶ監督たちである。出演者も香港映画を代表する役者が揃う。アンディ・ラウ、アーロン・クオック、ジジ・リョン、サミー・チェン、サム・リー、アンソニー・ウォン、トニー・レオン等々列記していくときりがない。それぞれわずかな時間ながらも、「がんばれ香港、SARSに負けるな」をテーマに、各監督の個性が発揮されている。

日本では、韓国映画におされて香港映画の公開本数が減ったことが報道されている。が、本作品集は、香港映画の底力を確信させる。芸術色濃い文芸映画に、カンフー・アクション映画、ラブストーリー、香港ノワール、と現在の香港映画は間口が広く、多彩なんである。
『1:99電影行動』は香港の映画でメシを食う人たちの社会貢献へのアピールであり、香港の歴史も踏まえた社会的で有意義な作品集である。このような商業色の薄い地道な作品が日本語字幕つきDVDになってレンタルで視聴できるんだから、香港映画はなんだかんだいっても日本で愛され続けているのである。


『1:99電影行動』
監督:杜[王其]峯・韋家輝・陳果・徐克・周星馳・陳可辛・馬偉豪・陳徳森・劉偉強・麥兆輝・羅啓鋭・張婉[女亭]・林超賢・謝立文(2003年 香港)
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2004年11月15日

明星ブランド論その3

お昼にうっかり、ほんとうにうっかり、ジャニーズJrの『ザ少年倶楽部』なんてのを見てしまいまして、日本が誇る巨大アイドル商会を見直した次第です。ジャニーズJr、たくさんいすぎて誰が誰やらさっぱりだったのですが。
個別に紹介されるグループの男の子たちのほかに、もっと小さい男の子たちがバックダンサーみたいに踊ってまして、おそらくこの子たちもいつの日かフロントステージで歌って踊れることを目標にしているわけで、ジャニーズ事務所、完成されたシステムです。
ジャニーズ事務所といえば北公次・フォーリーブスの時代より昔から、常に日本の芸能界に時代にあった安定した人材を供給している、芸能プロダクションなわけで、この誰が誰だかわからん状態も、客の好みが多様化した現在に沿った戦略なんでしょう。ちなみにジャニーズに関して少々ネットサーフィンしたところ、出色は芸人・松本美香氏のページ。この方、F4勉強中らしい。

そのお客には、ティーンエイジャーよりも、時間と小金をもったお姉様方が幅をきかせているようです。『ザ少年倶楽部』という番組はLIVE録画のようですが、客席には、贔屓の男の子の名前のはいったカードを持った、20代会社員(未婚)といった風情の女性が目立つ。既婚者もいるんだろうけど。

彼女たちは、ジャニーズという安定したブランドが供給する男の子たちを楽しんでいるのでしょう。ここのところ、女性アイドルにしてもモーニング娘。のハロプロだとか巨乳アイドルのイエローキャブだとか、個人もしくはグループに対して、所属事務所が前に出てきている。商品そのものよりも、事務所のブランド力で売れているように見えます。

週刊文春の冬ソナツアー潜入記によりますと、ツアー参加者は40~60代女性がほとんどとのこと。老いも若きも日本の成人女子はどうなってるんだ、と自分のこと棚にあげて思うわけですが、衣食住足りて、文化も消耗品になっているこのご時世。異性のイメージの消費は典型ではなかろうか、と。アイドル(明星)だけでなく、すべての商品において、ブランドは消耗品を生産する。消費者は経済に貢献しているわけですが。
旭君なみの貧乏根性故か、消費から新たな生産の可能性はなかろうか、と思ってみたりもする。
posted by 夏居 at 01:57| Comment(0) | 中華明星そのほか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年11月14日

『烈愛傷痕』はじまりました

F4迷のみなさま、『烈愛傷痕』、はじまりましたね。18歳の設定の旭が可愛い、なんてもんじゃございません。『流星花園』ではほとんどピチピチの、体格を強調する服を着てたんですが、ここではだぼだぼの高校生スタイル。これがちゃんと似合うんですわ。01年秋のドラマだから『流星花園』の直後。すっかり立派なテレビ俳優さんです。
カレン・モク(莫文蔚)姐さんがドラマにでているのを日本で見ることになるとは、『天使の涙』の頃は思わなんだ。かっちょいいです。旭くん、無茶苦茶相手役に恵まれてます。おねえさんと弟カップルの絵になってます。あと第1話では出番が少なかったけど、学ちゃんも出演。こうしてみると豪華キャストで違和感ない配役です。
中華TVドラマをみるうえで、主要な役以外の役者にあまりなじみがないことはちょっとつらい。そんななかで『流星花園』のタマさんと同じ役者さんがちょい役ででていたのは嬉しい。唐[王其]さん、なかなか気になる女優さんです。
原作が気になるところですが、字幕付きで全3回と短いため、まずは原作よまずにドラマで話の流れを追うつもり。BS導入した甲斐がありました。

地上波『流星花園』は第7話。旭の見所満載の回です。美容院で意味なく踊っていたりする。ラストシーンは「流星花園」の中でも名場面なんではないでしょうか?
類はいませんでしたが、日本映画版を見てから思うに、台湾ドラマ版が成功した鍵は、やっぱ美作と西門ですわ。今回出番が少なかったのに、この二人と旭のシーンは印象に残るのです。微妙な位地にいるヴァネとKenちゃんですが、存在感があるのです。
F4迷というのは、基本的に『流星花園』迷なのでしょう。現在では単独で活動している彼らに、どこかに『流星花園』とF4を求める。日本では放映がかなり遅かったんで、多くの迷にはタイムラグが生じているわけですが、この状態を面白がるのも楽しみ方の一つではないかと。

借り物の椎名林檎の『下克上エクスタシー』DVDかけながら昼寝。パフォーマンスを楽しむべき音楽。ヴォーカルとせっかくの歌詞がサウンドに埋もれてしまうのが、狙っているのではあろうけど、聞きづらい。
なにがあたるかわからない世の中において、先駆者になるのは希なこと。仕掛ける裏方と舞台に上がる者と、両者に寝食忘れるほどの熱意があるとき、流行ができるのかもしれない、と思ったり。
posted by 夏居 at 03:11| Comment(1) | F4 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年11月12日

『日記-「ヘブン・アンド・アース」中国滞在録』ひょっとすると映画よりも面白い撮影日記

アジアの映画やらドラマやらに、日本の役者が出演するのは珍しいことではなくなっている。『ヘブン アンド アース (天地英雄)』には中井貴一が準主役で出演していた。
中井貴一といえば、最近ノースウエスト航空の機内誌にでてたのを思い出す。オレゴンはすばらしい、というテーマのえらく気障な記事であった。結婚してどうのこうの、ってのろけまくってるし。質のいい売れ筋の映画やドラマに多数でている、騒がれすぎることもなくてそこそこ売れてる順風満帆な二枚目二世俳優という認識は、たぶん一般的なものだろう。

が、『ヘブン アンド アース (天地英雄)』では中国人のスタッフ、キャストの間に日本人一人放り込まれて、かなり苦労したらしい。
中井貴一は撮影当時の日記を軸にした体験記を著している。映画の撮影過程、本人の焦燥感、中国人キャストやスタッフの様子が記録されている。秘密主義の監督への不信感とか、主演女優のヴィッキー・チャオがおこした騒動とか、中国側の関係者には読めないから書けるんだろう、というような裏事情満載。
内容の面白さもさることながら、過酷な環境であっても自分の役をやりとげるのがプロの俳優である、というわけで中井貴一を見直したのであった。タレント本の枠にとどまらず、一体験記として読める内容の濃い本である。

日本の役者が他のアジア各国の映画やドラマに出演すること、最前線にいる当事者にとってはまだまだ大変なことのようだ。言葉の問題は大きい。さらに国によるやり方のちがい、というのがあるわけで、でもそれを乗り越えようとする過渡期が現在であるわけで、なかなかよい時代を共有している、といえる。今は日本の役者が他の国の作品に出演する場合が多いが、そのうちアジア各国の役者が、日本の作品で活躍することが多くなるかもしれない、と思うとなかなか楽しい。

『ヘブン アンド アース (天地英雄)』(2004年 2月)は中国歴史物大作映画である。主役をはっているのはヂァン・ウェン(姜文)おじさん。力作であるが、最近この手の映画、多いのである。ポイントは、やっぱり日本人が準主役で出ずっぱりのところか。


『日記-「ヘブン・アンド・アース」中国滞在録』
中井貴一 著 キネマ旬報社 2004年2月  1575円 
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2004年11月11日

『錦繍前程』(レオン・カーファイの恋はあせらず)

日本のDVDには『レスリー・チャンの恋はあせらず』とすごいタイトルがついているが、中国語タイトルは『錦繍前程』である。レスリー・チャンとレオン・カーファイの友情コメディで、レスリーは嘘つきサラリーマン、カーファイは老人ホームでバイトする音楽家志望青年なのである。ほかにロザムンド・クヮン、マイケル・ウォン、ウォン・ジーワーらが出演している。日本ではカーファイよりもレスリーのほうが知名度が高くファンも多いため、こんな邦題がついてしまったのであろう。

ストーリーはわかりやすい。背広に眼鏡のレスリー扮するロンが会社をクビになって女にも振られて、カーファイ扮するホイら友人たちに迷惑をかけまくる。ロンもホイも友人たちもお金持ちではなさそうだけど、友達がいて気ままに生きていて、楽しそうでよろしい。ロンもホイもダメ男っぽいけど憎めない。

カーファイがのびのびしていてよろしい。カーファイってエラがはってて好みが分かれる顔立ちをしているが、ガタイがよくって個性的なんである。心優しいフリーター役がはまっている。気どりのない役柄だが、カーファイ演じるが故、優しい大人の男でもあったりする。
対して、ずっと背広姿のレスリーである。しかし、レスリーに庶民的な役柄、似合うとは思えないんだが如何だろうか。もっとも、迷にとっては「かわいい~」といったところかもしれないが。私もレスリーとなるとちょっと平静ではいられなくなる口だが、うむ。ま、こういうレスリーもあり、か。
ちなみにレスリーは『恋戦 OKINAWA』といい、カーファイと組むと子供っぽくみえる。ええい、言ってしまえ、「とっつぁん坊や」と。カーファイが大人だから、というよりも監督の演出のせいか。『恋戦 OKINAWA』と同じ監督なのだった。

レスリーよりもカーファイをみる映画。日本では劇場未公開。土地転がしビジネス、老人ホームなどは香港ならではの設定であり、駄作ではないんだけど、映画としてはもう一ひねり、スパイスが欲しいところ。


『錦繍前程』
(監督:ゴードン・チャン 1994年 香港)
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2004年11月10日

『2046』について少々

いまさら『2046』なのであった。一回見ただけでどうこういえる作品ではないが、少々。
芸術性は高いことは誰しも認めるところであろうものの、好みがわかれる作品であることは間違いない。トニー・レオン扮する女遊びを得意とする文筆家が主人公なのはいいが、時間軸がやたらととぶから話がみえない。登場人物たちの評価も、観客ごとに異なるであろう。豪華キャストの抽象的な作品である。

王家衛作品を見続けてきて、王家衛的世界が好きな人にとっては好感が持てる作品だ。なにしろ『花様年華』『欲望の翼』『天使の涙』『恋する惑星』『ブエノスアイレス』あたりがごっちゃになったような映画である。冒頭のSFチックな映像には、そうきたか、と思わせられた。しかし中盤から後半にかけて、だれてくる。
女たちは美しい。特にアンドロイドになった女たち。SF映画ではよくある設定であるが、王家衛、ウィリアム・チョン、クリストファー・ドイル(本作品では撮影というより撮影監督らしい)ら『天使の涙』チームならではのアンドロイドっぷりである。カレン・モクのぶっとび金髪女が頭に浮かぶ。ただ、もっと各人の個性があってもいいのでないか。
好みは人それぞれだろうが、私の好みはフェイ・ウォン。歌手が本業であり演技にそれほど力をいれているとは思えない彼女だが、王家衛の映画にはその固さが妙にはまる。チャン・ツィイーは見所満載。かーりんのご登場は『欲望の翼』好きにはたまらない。コン・リーもさいごにでてくる。マギー・チャンはあくまでもゲスト。ドン・ジェは印象に残らなかった。豪華な顔ぶれであるが、チャン・ツィイーとドン・ジェの二人の若手以外はすでにこの監督の作品に出演済みなのであった。
男優陣は女優陣とくらべると、物足りない。トニーさんは、あちこちで褒められてるが、要はスケベ親父ではないか。余裕ありすぎと思うのは私だけか。キムラ氏は、面長で目の表情などがどことなくトニーさんに似ているが故に起用されたと思われる。チャン・チェンは、いたっけ? といった程度しかでていない。
王家衛もすっかり巨匠である。初期のころにあった青さはすっかり抜けてしまって、なんだかもう、一緒に歳とっていこうよ、といった感じの作品が続く。大陸の大家たちみたいに落ち着いてほしくはないんだが、仕方があるまい。次作もトニーさん主演らしいし。『2046』では、それなりに新しいものをとりいれようと、昔のロードムービーっぽい感覚をだそうと試みたんではないか、とも思える。

理由は何であれ、アジア圏の映画がつぎつぎと日本で注目を集めている。わるいこっちゃないだろう。カンヌの権威に弱いんでも話題先行でもよかろう。


『2046』
(監督:ウォン・カーウァイ 2004年 香港)
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2004年11月09日

惣領冬実の『MARS』

F4迷の間で話題の、仔仔主演の台湾ドラマ『戦神(MARS)』の原作となるマンガである。強烈なおすすめがあり、全15巻一気に読んだ。第15巻は出版社にも在庫がないとかで、マンガ喫茶にて。

単行本表紙をひんぱんに飾っているのが主人公の零。不良っぽくていい男でプロとして通用するバイクレーサーでもある彼と、やや陰気で絵の才能がある女の子キラの恋物語。二人は高校生で、零を好きな女やキラを好きな男がでてきて、そして話が進むにつれてやがて、、、と少女マンガの王道をいく物語なのであった。対象年齢は中学生~高校生か。
バイクシーンはとても魅力的なのだが、それよりも主人公二人が抱き合ったりいちゃいちゃしているシーンのほうが印象的だったりする。惣領冬実の絵柄は甘く、この作家らしいザ・少女マンガの世界を築く。
双子、精神的な傷、複雑な家庭環境などが、上手にとりいれられているものの、これらにコマの外までにじみでるほどの重さはない。主題にするにはあまりにも正面から描きすぎているためであろう。ラブストーリーとして素直に読むべき作品であり、それ以上の深みを求めるにはもの足りない。伏線のはり方、だんだんと主人公たちのバックグラウンドが明らかになっていく話の進め方はわかりやすい。主題ではないものの、これらは読み出したらやめられない力を作品に与えている。

ドラマティックな素材を扱いながらその重さがないぶん、実写化版には期待ができる。台湾ドラマの動画を見る限りでは重厚感があり、仔仔扮する零は原作通りの恵まれた体躯・長髪のいい男で全く違和感がない。まさか、これで高校生という設定ではないと思うが。
台湾ではこのドラマ、このたび放映終了した模様。日本でもDVDなど入手すれば見えるのだが、未見。BS日テレが字幕をつけて放映してくれるのを待つか、どうするか。
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2004年11月08日

『花より男子』(日本映画 1995)

コミック『花より男子』の日本での実写版である。1995年の作品。劇場映画で78分にまとめられている。当時、かなり話題になったことを記憶しているが、いましがたようやくビデオで見終わったのであった。

内田有紀主演のB級アイドル映画である。こういうチープなテイストがたまらん人にはよろしかろうが、普通にみると、かなりつらい。内田有紀は原作と違ってショートカットだけど可愛いから許す。しかし、最後のカットはもうちょっといい表情の絵にしてやれなかったのか。
悲しいのはF4だ。金持ちにはみえないし、4人がオープンカーに乗って登場したり道明寺が裸に派手派手チョッキででてきたり。妙なところで原作に忠実で、道明寺はおもいっきりアホっぽい。ラストシーンでよくみるとハンサムなのに。谷原章介という役者さんで、現在も活躍中らしい。花沢類は藤木直人。類は難しい役どころだが、藤木直人は顔でカバーしている。演技についてはなにもいうまい。
美作と西門が全く描けていない、二人ともちょい役で、どっちがどっちかわからないどころか、その他大勢にとけ込んでしまっている。
女の子向けのコミックを、美少女アイドル映画にしたんだからムリがある、1時間ちょっとの映画での表現には制約がある、とはいうものの、コミックとは別の作品としてみるにしてもなんだか中途半端な作品。藤原紀香嬢映画初出演作として、歴史に残る一本ではあるようだが。

台湾ドラマ版が成功したのは、やっぱりF4の功績だ、と改めて思うのであった。主役の道明寺はアホなだけじゃだめなんである。もともと女の子向けのコミックなんだから、いい男に描かないと。類は仔仔のほうが上手いかも。というか、仔仔のほうがちゃんと演出してもらっている。美作と西門の描き方も重要。4人揃って、その他大勢よりも背が高くてガタイのいい男子で大正解。
また、設定を中途半端にせず、4人を徹底的なお金持ちにしたり、台湾の庶民的な町並みをほとんど使わなかったのも、ドラマの非現実性を高めている。日本版はそのあたりハンパであるが故にチープなんである。

台湾版の制作者は、当然日本での実写版を参考にしていると思われる。舞台となる大学の雰囲気、かなり似ている。台湾版では日本実写版にあちこちダメだしして反面教師にしてるんではなかろうか。監督、制作者の功績も大きい。

素材が同じでも、料理の仕方で見事に味わいが違う好例。


『花より男子』
(監督:楠田泰之 日本 1995年)
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2004年11月07日

土曜の夜はF4なのだった

この秋、土曜の夜はテレビ鑑賞の時間と化している。地上波で10:00PMから『流星花園』、BSで11:00PMからF4ドラマとくれば、動けなくなるわけだ。NHKの『美しき日々』も微妙に気になったりするが、今晩はおやすみ。

無事、『流星花園NG集』を鑑賞。録画もばっちり。仔仔の「今後芸能活動つづけていくかわからないけど」というコメントにしみじみ。あんた、今や台湾でもトップクラスのギャラで契約する明星じゃんか。3年前の話なのよねぇ。と、時間のギャップを感じるのであった。
東ー東南アジアの中で、実は日本がいちばん流行に遅れてるかも、という状態なわけ。先進国だと威張っている国がかなり面白いことになっているんだが、その住人としては面白がっているだけでは済まないだろう。いろんな分野において、近隣の国に対してより鋭敏にならないと、これはおいてけぼりをくうかも、と。

BS日テレが「BS日テレを見るためにここまでしたという話があればおよせください」とか言っている。『戦神』『貧窮貴公子』『狂愛龍捲風」』『女生向前走』『麻辣鮮師』『橘子醤男孩』『蜜桃女孩』だけじゃなくって『門魚』とか『●子』(楊祐寧のね)とか、ブームにならなくとも、今後も台湾のドラマ放映するんだったら「BS日テレのためにアンテナとチューナー買いました」って投稿してもよいんだが。BSはまだソフトに苦戦しているようだが、北京語ドラマはいかがでしょうか、と。

朱考天くんイベントに関する情報に、思考回路が停止中。いや、別にKenちゃんてわけでもなかったんだけど。F4の中でもわりとふつうのお兄ちゃんだな、と思ってたはずなんだけど。いつの間にやら、ひっかかりのツボがでてきて、気になり出すと止まらないのであった。旭君といい、幼少期のおいたちからくるなんとやら、がある人ってのにどうもなにかが疼くのであった。
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2004年11月05日

『向左走・向右走 (Turn Left, Turn Right)』ターンレフト・ターンライト

ジョニー・トー〈杜[王其]峰〉のラブコメである。ジョニー・トーといえば、『暗戦 デッド・エンド』に『ザ・ミッション  非情の掟』と、ハードボイルドな男の世界をカッコよく描く監督だ。それが、金城武クンとジジ・リョン(梁詠●)のラブストーリーである。

これがまた、かわいいんである。好きあっているのに、いつまでも出会えない二人。いろんなところですれ違っているのに、部屋さえも隣なのに、本人たちは気がついていない。あり得ない、あほらしい、といってしまえばそれまでの話なのだが、観ていてつい、はらはらしてしまう。
脚本がしっかりしているんである。主役の二人にはそれぞれおじゃま虫がくっつくのだが、その絡み方もよろしい。しかし、冒頭で金城君を誘惑しようとする怖いおねえさんには全く意味がない。

主演の二人はいうまでもなく美男美女。金城君はバイオリン弾き。バイオリンを弾く男というと、つい『流星花園』の花沢類を思い出すが、バイオリンは中華圏美青年のキーアイテムのようだ。ジジ・リョンは『烈火戦車』でアンディ・ラウの相手役としてみたのが最初。烈火戦車が1995年の作品だから、もう10年近く売れっ子なわけで、でもまだ28歳で、立派なもん。日本でも『再見 またあう日まで』がヒットしたし。イーキンとは長いし。こういう甘いラブストーリーの主役にぴったりはまる。可愛い格好で登場するんだけど、その長いマフラー、危なくないか?

舞台は台北。主人公二人の部屋が広くてお洒落で、貧乏とはとてもいえないのは仕方ない。台北の街の描き方がさりげなくていい。『流星花園』みたいにトレンディスポットで固めず、かといって『夢遊ハワイ』ほど泥臭くもなく。ナチュラルでお洒落におさえている。

原作は台湾の絵本。中華圏でのベストセラーということ。雰囲気がわかるサイトはこちら。日本でも出版されているがあまり話題にならなかったような。ほんわかした雰囲気が映画に活かされていることに納得する。
ずっとあきらめずに思っていれば縁は必ずある。たとえ邪魔するものがあったとしても二人は出会うことができる。ジョニー・トーのラブストーリー、隙はあれども、恋に前向きになれる小品に仕上がっている。

レディース・デーの午後の回に鑑賞。映画館には金城君目当てと思われる女性が列をなしていた。


『ターンレフト・ターンライト』
原題 向左走・向右走 (Turn Left, Turn Right)
監督:ジョニー・トー (香港 2003年)
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2004年11月04日

『インファナル・アフェア 無間序曲』 パートIIからみるのもおすすめ

黒社会(マフィア)で生きる潜入捜査官と、警官として生きる黒社会構成員。黒社会と警察の攻防の中、ともにスパイとして敵地で信頼を得ながら働いている二人の男。なんともややこしい事態である。多くのものを失いながら、誰のために生きているのか。苦悩する二人をアンディー・ラウ(劉徳華)とトニー・レオン(梁朝偉)が演じた第1部が日本で公開されたのは2003年のこと。

本作はその第二部である。物語は過去にさかのぼる。二人の潜入者には、アンディー・ラウとトニー・レオンの若き日の姿として前作に登場した、ショーン・ユーとエディソン・チャンが起用されている。が、この二人の比重はそれほど大きくない。アンソニー・ウォン、エリック・ツァン、フランシス・ン、ロイ・チョンそしてカリーナ・ラウら香港映画ではおなじみの渋めの大御所たちが物語を進めていく。無間道は大人の世界なんである。

よって、安心してみていられる香港ノワールの世界が繰り広げられる。かといって、マンネリ感もない。『藍宇』でおなじみの中国俳優フー・ジュンが重要な役どころで登場したり、カリーナ・ラウが芯のとおった姉御っぷりをみせたり、キャスティングと脚本のバランスもよい。
二人の若手の見せ場が効果的。キャリアも知名度もあって癖の強い俳優たちのなかで、よく健闘している。物語が複雑なためとまだ二人とも役者としての癖がついていないため、いまいちどっちがどっちなのか区別がつかなくなったりもするが。
どちらかというと、ショーン・ユーのほうが印象が強い。警官の制服よりも、黒社会の派手な格好のほうが個性をだしやすい、ということもあろうが。エディソン・チャンは、出演作を何本かみているのだが、育ちがよすぎる感があり荒っぽい役どころにはそぐわないと思うのは私だけか。

フランシス・ン、というよりン・ジャンユーといったほうがしっくりくるのだが、この人はでる作品ごとに印象がちがう。悪役やら黒社会の人役は得意の人だが、今回は眼鏡をかけたインテリ風の黒社会のボスとしてご登場。誰かと思った。
逆にエリック・ツァンは、エリック・ツァンにしか見えないが、この人はこれでよろしい。アンソニーは独自の渋さをかもしだしているし、メインキャスト紅一点のかーりんは格好いいし。

トニーとアンディが中心だったIとは別の作品として鑑賞できる。かつ、ちゃんと3部作のうちのひとつとして話もつながっている。IIをみてからIをみてもいいようにできているのはお見事。アンドリュー・ラウのお仕事でも、おなじ連作『古惑仔』よりもはるかに緻密であり、その進化がうかがえる。もっとも『古惑仔』はあれはあれで、よろしいんですが。無間道もそのうち外伝なんかでてきたりするかもしれないが、折角なのでこのまま渋くキメてほしい。

なお、エンドロールのあとでIIIの予告がながれ、これは必見。これまた無茶苦茶楽しみなキャスティング。香港では今年の12月から公開とか。なお香港のサイトはこちら

新宿は歌舞伎町の映画館街で鑑賞。香港ノワールものをここでみると、日本で観ているにもかかわらず、映画館をでてからもしばらく気分がつづいてたいへん楽しい。こわい、という意見もあるようですが。


インファナル・アフェア 無間序曲
監督:アンドリュー・ラウ (香港 2003年)
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2004年11月30日

『烈愛傷痕』最終回

全3回、無事終了いたしました。第3話はストーリーを楽しむ回。兄と弟、カレン・モクはどちらを選ぶのかってところが見所。全10回くらいになりそうな、もっとひっぱってしかるべきお話でしたがあっさり終了。『流星花園』直後のジェリーはともかく、カレン・モクと学ちゃん使ってればスケジュールが難しいか。

結局カレン・モクが主役のドラマではありますが、旭君の変化がちゃんとわかるようにつくってあります。第一話では可愛い18歳の高校生、第二話ではひねた大学生、第三話ではしっかりした大人に成長、と。ベテラン二人に胸を借りて旭君、しっかりこなしてます。第三話では、でも妙なコートきたりマフラーしたまま仕事してたな。

閑話休題。『流星花園』について、あまりにも素敵な形容とイラストに遭遇。貴女は「もっさり濃い」のを受け入れられるか。ここが分かれ道なんである。

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2004年11月29日

台湾版ドラマ『薔薇のために』見たいぞ。

『流星花園〜花より男子〜』メルマガをつらつらみてたら、
「『薔薇之恋』 台湾版エミー賞The Golden Bell Awards 受賞」なる記事。可米制作有限公司おそるべし。吉村明美の『薔薇のために』までドラマ化してたとは。

『薔薇のために』は、太っていて不細工な少女が祖母を亡くして母親が実は売れっ子女優であることを知り、美形だけど性格の歪んだ兄姉たちと暮らし始めることからはじまる壮大な物語なんである。主人公は怠け者で離婚歴のある姉、青い目のやたらハンサムで死んだ婚約者を想い続ける兄、女性と見まがうばかりの容貌でオカマの弟、みな父親が違うらしい。兄弟たちに最初家政婦扱いをされていた少女は、いつの間にか皆に愛されるようになっていく。
典型的少女マンガの絵柄をベースにし、コメディ、ロマンス、ミステリをつめこみながらも、家族とか愛とか幸福とかいうテーマに直球勝負で挑んで成功し、なおかつバランスがとれている希有な作品と、私は勝手に評価している。次々と新たな登場人物を投入することによる手を替え品を替えのドタバタコメディをつづけながら、主人公である少女のロマンスと出生の謎解きミステリが進展していくので、文庫本で9巻と結構な長さがある。
80年代にバリバリのフェミニズムマンガ『麒麟館グラフティー』を描いた作者が、90年代になって向かった先は「無償の愛」なのだった。両作品とも「女の幸せ」をテーマにしているんだが、時代の変化か作者の変化か。

この作品も『花より男子』同様熱烈なファンが多い。台湾にも原作ファンページがあるのを発見したのは2003年2月のこと。
2003年制作のこのドラマ、テレビ局のWEBサイトの登場人物紹介をみてみれば、やっぱり原作忠実路線らしいことが伺える。主人公の百合はS.H.E.のElla、可愛いアイドルのはずだが原作イメージ通りのおかっぱ頭の冴えない子になっている。残念ながら写真を見る限り、主人公が思いを寄せる兄・菫に黄志[王韋]は平面的な顔が苦しいかも。長姉の芙蓉、芙蓉を口説く漫画家猫吉はなかなかよろしい。無茶苦茶期待できるのが、弟・葵の鄭元暢。長髪で女の子っぽくて、でもカッコよくて原作そのまんま。主人公を振り向いてもらえないながらも明るく守り続け、原作でいちばん人気のキャラクターだったのが葵だったけど、鄭元暢もこの作品で大人気になったとか。かなり気になるぞ。

これは見たいぞ。いかん、これは『流星花園』をみはじめる前の状態である。日本でもまずスカパー!の中国語チャンネル(楽楽チャイナ)で放映するらしい。
1年以上放置されているとみられるコミックリズの日本語ページをみるに『ツルモク独身寮』やら『流星花園』をきっかけに、日本で人気のマンガがやたらドラマ化されているよう。台湾のページは現在つながらず。
日本で今、韓流に夢中な人たちが中国語ドラマにも手を伸ばす可能性は大きいとみる。わりと近い将来に日本語字幕つきで見えるんでないかと期待。
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2004年11月27日

F4 mania now spread to Japan.

韓国で Asia Song Festival とかいうイベントがおこなわれていて旭除いたF4がでるってんで久々にニュース検索。
「F4 mania now spread to Japan」とな。 中国語の仔迷サイトのBBSの書き込みですが、「F4迷日本に増殖」といったところか。BSfanの画像を差して「too old」とか、楽しいことになっている。日本語以外のF4掲示板、いずこも日本での流星花園ブームが話題になっていることでしょう。

そういえば先日レンタルビデオ屋にて、『流星花園』DVDを熱心にチェックしている二十代女子1名発見。東京でもMXテレビのお陰か、貸し出し状況は順調な様子。

よんさま(しつこく”さま”は敬称ではない)人気も最高潮か。韓流ブーム、なんだか一時のエヴァンゲリオンブームを思い出すのは私だけか。いつまでつづくか、しかし大衆が一つのものに熱狂するのが長く続かないってのは健全である、と思ったり。サッカーワールドカップといい、テレビ・映像を元にしたブームにはものすごく力があって、ブームが去った後もなにかを残している。

なお、検索の結果、ブランドものリュックを背負った刈り上げヴァネスに無事遭遇。うーん。。。

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2004年11月24日

『柔道龍虎榜』日本での公開おそらく未定のところになんですが

平日昼間、お仕事を抜け出して東京フィルメックスへ。『柔道龍虎榜』、月曜夜のチケットがとれなかったんで本日昼に鑑賞。月曜のチケットはあっという間に売り切れたとか。監督はジョニー・トー(杜[王其]峰) だし、出演者にルイス・クー、あーろん、こはる、カーファイとくれば、傑作を期待するのが香港電影迷というもの。

なのに、なんでこうなるのやら。なんで柔道なのか。黒社会がでてくるのか。タレント志望の女の子を登場させる必然性はどこにあるのか。結局なんなのやら。柔道を素材にした目の付け所は悪くないのに消化できてない。黒澤明でなくってアテネオリンピックに触発されて3日でつくったんと違うか、とつっこみたくなったのは私だけか。香港公開は7月8日ということなんでさすがにそれはないはず。

そうか、ジョニー・トーっていうんで『ザ・ミッション 非情の掟』とか『暗戦 デッド・エンド』を期待した私が悪かった。そういえばジョニー・トーってイーキンがマジシャンになる『暗戦 リターンズ』なんてのも撮ってたし。
純粋に香港オバカ映画として見れば、夜の路上でみんなでスーツ着て組み手やってたりして楽しい。あーろんの髪型はマンガチックだし。黒澤明の『姿三四郎』を見た上で見ればそれなりに見所満載なのかもしれないし。
でも、この作品をひっさげて「香港映画最前線~鬼才ジョニー・トーの映画術」って、いいのか。


『柔道龍虎榜』
監督:ジョニー・トー(杜[王其]峰) 香港 2004年
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2004年11月23日

「神話」と「F4」の個体認識

巷では「東方神起」が話題のところ、いまさら「神話」勉強中である。何故って、たまたまCDを借りたから。とりあえず『白鳥の湖』(曲のタイトルは『T.O.P.』)は傑作。

それなりに解説読んだり、ネットサーフィンしてるんだが今ひとつ個体認識がおいつかない。とりあえず固有名詞はいくつか覚えた。えっと、ドンゴン、アンディ、ヘソン、と空でいえるのは半分か。韓国にこの手のグループは多々あれど、神話に関しては異例に各人ソロ活動が活発で各自個性を発揮しているらしいが、よくわからん。なんだか脳内がこの間みたジャニーズJrとおんなじ状態になっているぞ。

こんな私がF4の個体認識に成功したのは、ドラマ『流星花園』があった故であることを再認識するのであった。認知する初期段階で、役の上での性格が本人のキャラクターになったんですな。華やかなジェリー、美少年の仔仔、運動神経よさげなVanness、のーっとしたKenという具合。これらは認知第一段階のことです。念のため。
どこかにF4はみんなロン毛で誰が誰やらよくわからん、というコメントがあったが、『流星花園』みていないとそうであろうぞ。

日本で一番有名なK-POPグループがおそらく「神話」だと思うんだが、F4と比べて日本語のインターネットサイトが格段に少ないのは何故なのか。YAHOO!の登録サイトは3つのみ。内容も各F4サイトに比べて薄い。
近くのレンタルビデオ屋のCDコーナーの韓流コーナーにはドラマサントラしかおいていない。いまさらながら韓流ブームとは、韓国俳優・女優ブームのことなのだった。そりゃたしかに、『冬のソナタ』の世界に入り込んで感動する40-60代日本女性がアップテンポのK-POPのラップ聴いている姿は想像するに難しいものがありますな。
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2004年11月21日

『烈愛傷痕』第2話

『烈愛傷痕』第2話でした。BSみれるF4迷の方々は楽しまれたことと思います。
空をバックに、高いビルの屋上にたつ旭と学ちゃんの絵がよろしかった。美しい構図に、立っているのが旭。見とれました。合間に屋上からみた台北の街が映し出される。内容にあわせて、画面の作り方は『流星花園』より凝っている。映画では青緑色のことが多い台北の空が、ここではくっきり水色。

久しぶりに公式サイトをみてみれば、F4ドラマとかいうページができている。順次日本放映してくれると嬉しいんだが。

HMVの書籍売り上げ予約チャートで旭君写真集がぶっちぎり一位だそうな。DVDの『第一次影音全記録 』が音楽予約オーダー4位になってるけど、これは今時点でか。ちなみに一位は平井堅。なんだかえらいことになっているみたいな。ちなみに、わたくし両方ともまだ予約してません。
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2004年11月19日

『恋愛回遊魚』つまんない、というよりも難解

つまんない、というよりも難解な映画。話の流れを追うために画面をずっとみている必要がある。話がとぶが故に宙に足がつかないような雰囲気に仕上がっているし、ちょっとした小物やエピソードが妙に浮き出して洒落てみえたりするんで、こういうのがお好みの方にはよろしかろうが。

三十前の台湾大学医学部卒のプータローとテレビCMに出演するくらいのレズの美少女女子高生の不思議な関係なんだが、これは恋愛なのかなんなのか。よくわかんないうちに主役の男は清掃車にぶつかって倒れていて、美少女はバスにのって別れの手紙を書いている。

主役の男は妙に首が長くてだらしないん風貌なんだが、途中ブランドものの衣装で固めてあらわれるとそれなりにきまってみえるのがおかしい。演じているのは『藍色夏恋』のイー・ツーイェン監督なのだった。『藍色夏恋』メイキングにでてくる姿とは体格が完全にちがっていて、別人にしかおもえないが。音楽が極端に少ないこと、レズを自称する女子高生などは、『藍色夏恋』につながる。

なんで台湾の映像作品って映画とテレビドラマでこんなにテイストが違うのか。映画は完全にお芸術の世界にいっている。どの作品も監督や撮影のこだわり満載。画面はいつも淡くぼんやりしていて懐かしい感じ。音楽もほとんど使われない。同じお洒落系難解映画でも香港の王家衛による『恋する惑星』や『天使の涙』が大成功したのは、音楽の使い方がポップなことが理由のひとつであろうと、本作や一連の台湾映画を見ることによって思い至る。

対して『流星花園』以降のテレビドラマはわかりやすいエンターテイメントを突っ走っているらしい。画面はすっきりはっきり。映画界とテレビ界で映像関係者の行き来はないのか。日本で公開される台湾映画に偏りがあるだけなのか。どうでもいいけど、謎。


『恋愛回遊魚』
監督:ウー・ミーセン 2000年 台湾
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2004年11月18日

『藍色夏恋』清く正しく美しく

女の子二人、男の子一人の完全な三角関係である。制服姿の清く正しい青少年の恋愛が描かれる。
台湾映画らしい青春映画だ。メイキングで監督は台湾映画の重くて暗いイメージを払拭したかった、といっているが、明るい感じはあまりない。暗い、ということはないんだけど切なさが強調されて、それがどこか寂しさにつながる。淡い色彩、台北の街と海辺の街、ありがちなモチーフが印象に残る。音楽もほとんど使われず、セリフも少ない。

主役の男の子(チェン・ポーリン)、女の子(グイ・ルンメイ、リャン・シューホイ)がみずみずしくて可愛い。特に、グイ・ルンメイ(桂綸[金美])。やせっぽちでどこにでもいそうなんだけど、画面での表情がいい。ショートカットで大きな目で無愛想なのが可愛いのだ。チェン・ポーリン(陳柏霖)はどこにでもいそうな等身大の男の子が、ちょっと格好良くなった感じ。台湾で人気なのは本作を観て納得できる。

カンヌで大好評だったとのことだが、おうちでDVDとしてみるのには少々退屈。映画館でぼーっとスクリーンを眺めるにはいいのかもしれない。DVDの特典映像は、映画をスクリーンで観て気に入った人ならば見る価値あり。

主人公の彼らの年頃に観たら、また違った印象を持ったかもしれないな、と。


『藍色夏恋』(藍色大門/BLUE GATE CROSSING)
監督:イー・ツーイェン (2002年 台湾)
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2004年11月17日

『オールド・ボーイ』容赦ない韓国の映画

出来映えのよい映画だ。チェ・ミンシクの熱演ぶりは、あり得ない設定をくつがえす。背中にナイフが刺さっていようと敵をぶちのめし、戦いつづけるのだ。カン・ヘジョンも、体当たりというにふさわしい演技をみせる。場面によってメークをがらりと替える彼女は、チェ・ミンシクを慕う謎めいた女の子の不思議な雰囲気にぴたりとはまる。敵はユ・ジテ。『アタック・ザ・ガスステーション』でセリフが少ないながらも存在感があった男前は、出番が少ないながらもきちんと役をわきまえた仕事をする。
全体の構成もひとつひとつの場面も計算されている。無駄がまったくない。どうして、彼は15年も監禁されていたのか。観客は最後まで、「謎」につきあうことになる。終盤の謎解きは、すこしずつ進む。そして新たな謎が問いかけられる。人がそれほど沢山死ぬ話ではないにもかかわらず、重い。
凝った作りの映画らしい映画であり、サスペンスとしての展開も上等である。

が、あまりにも救いようがない。終映後「なんかねぇ」。というつぶやきにも似た会話がちらほらきかれた。

容赦のなさがこの映画にはある。この感覚はおなじ韓国映画の『カル』や『リベラ・メ』などと同質であり、韓国映画しかもたらせえない類のものだ。
個人的趣味とは、どうも相容れない。許容範囲外なのだ。ことばにしてしまうと、げんなりする、ということになる。もっとも平気な人、もしくはこういったものを好む人もいるかもしれない。もちろん隣の国の文化を楽しんだり応援することは当たり前、しかるべきことだ。作品に対する個人の感性の問題。

どことなくヌルい香港や台湾の映画が正直、性に合う。韓流に、いまいちのれない理由はこのあたりにあるのだろう。といいつつ部屋にイ・ビョンホン氏の写真集があるのは何故。


『オールド・ボーイ』
監督:パク・チャヌク (韓国 2004年)
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2004年11月16日

SARSに負けるな『1:99電影行動』

昨年の春、香港はSARSの流行で大きな痛手をうけた。
香港電影工作者總會が企画した、SARSに沈む香港社会を励ますことを目的にしたキャンペーンフィルム集である。本編より長いメイキングがはいっており、冒頭をエリック・ツァンによる香港電影金像賞授賞式の司会のことばが飾る。
「イラクでの戦争、レスリー・チャンの死、SARS、、世界に暗雲がたちこめた。司会は勘弁してくれ、と大会実行委員長に電話した。そんなとき、SARS感染から生還した医師が仲間の医師に協力を要請し医療現場に戻る姿があった。後戻りはできない。式典を決行します」(要約)。
社会が困難に立ち向かっているとき、それぞれが自分の仕事をやりとげることの大切さを伝えるスピーチは感動的であり、本作品集の意図を十二分に伝える。街が伝染病に見舞われるというのがどれほど大変なことか、にもかかわらず立ち向かう香港の人たちの意気込みが、この作品集から伝わってくる。

15人の監督による11編のショートフィルムがおさめられている。香港映画好きならば、あの作品を撮った人、とすぐ頭に浮かぶ監督たちである。出演者も香港映画を代表する役者が揃う。アンディ・ラウ、アーロン・クオック、ジジ・リョン、サミー・チェン、サム・リー、アンソニー・ウォン、トニー・レオン等々列記していくときりがない。それぞれわずかな時間ながらも、「がんばれ香港、SARSに負けるな」をテーマに、各監督の個性が発揮されている。

日本では、韓国映画におされて香港映画の公開本数が減ったことが報道されている。が、本作品集は、香港映画の底力を確信させる。芸術色濃い文芸映画に、カンフー・アクション映画、ラブストーリー、香港ノワール、と現在の香港映画は間口が広く、多彩なんである。
『1:99電影行動』は香港の映画でメシを食う人たちの社会貢献へのアピールであり、香港の歴史も踏まえた社会的で有意義な作品集である。このような商業色の薄い地道な作品が日本語字幕つきDVDになってレンタルで視聴できるんだから、香港映画はなんだかんだいっても日本で愛され続けているのである。


『1:99電影行動』
監督:杜[王其]峯・韋家輝・陳果・徐克・周星馳・陳可辛・馬偉豪・陳徳森・劉偉強・麥兆輝・羅啓鋭・張婉[女亭]・林超賢・謝立文(2003年 香港)
posted by 夏居 at 23:09| Comment(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年11月15日

明星ブランド論その3

お昼にうっかり、ほんとうにうっかり、ジャニーズJrの『ザ少年倶楽部』なんてのを見てしまいまして、日本が誇る巨大アイドル商会を見直した次第です。ジャニーズJr、たくさんいすぎて誰が誰やらさっぱりだったのですが。
個別に紹介されるグループの男の子たちのほかに、もっと小さい男の子たちがバックダンサーみたいに踊ってまして、おそらくこの子たちもいつの日かフロントステージで歌って踊れることを目標にしているわけで、ジャニーズ事務所、完成されたシステムです。
ジャニーズ事務所といえば北公次・フォーリーブスの時代より昔から、常に日本の芸能界に時代にあった安定した人材を供給している、芸能プロダクションなわけで、この誰が誰だかわからん状態も、客の好みが多様化した現在に沿った戦略なんでしょう。ちなみにジャニーズに関して少々ネットサーフィンしたところ、出色は芸人・松本美香氏のページ。この方、F4勉強中らしい。

そのお客には、ティーンエイジャーよりも、時間と小金をもったお姉様方が幅をきかせているようです。『ザ少年倶楽部』という番組はLIVE録画のようですが、客席には、贔屓の男の子の名前のはいったカードを持った、20代会社員(未婚)といった風情の女性が目立つ。既婚者もいるんだろうけど。

彼女たちは、ジャニーズという安定したブランドが供給する男の子たちを楽しんでいるのでしょう。ここのところ、女性アイドルにしてもモーニング娘。のハロプロだとか巨乳アイドルのイエローキャブだとか、個人もしくはグループに対して、所属事務所が前に出てきている。商品そのものよりも、事務所のブランド力で売れているように見えます。

週刊文春の冬ソナツアー潜入記によりますと、ツアー参加者は40~60代女性がほとんどとのこと。老いも若きも日本の成人女子はどうなってるんだ、と自分のこと棚にあげて思うわけですが、衣食住足りて、文化も消耗品になっているこのご時世。異性のイメージの消費は典型ではなかろうか、と。アイドル(明星)だけでなく、すべての商品において、ブランドは消耗品を生産する。消費者は経済に貢献しているわけですが。
旭君なみの貧乏根性故か、消費から新たな生産の可能性はなかろうか、と思ってみたりもする。
posted by 夏居 at 01:57| Comment(0) | 中華明星そのほか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年11月14日

『烈愛傷痕』はじまりました

F4迷のみなさま、『烈愛傷痕』、はじまりましたね。18歳の設定の旭が可愛い、なんてもんじゃございません。『流星花園』ではほとんどピチピチの、体格を強調する服を着てたんですが、ここではだぼだぼの高校生スタイル。これがちゃんと似合うんですわ。01年秋のドラマだから『流星花園』の直後。すっかり立派なテレビ俳優さんです。
カレン・モク(莫文蔚)姐さんがドラマにでているのを日本で見ることになるとは、『天使の涙』の頃は思わなんだ。かっちょいいです。旭くん、無茶苦茶相手役に恵まれてます。おねえさんと弟カップルの絵になってます。あと第1話では出番が少なかったけど、学ちゃんも出演。こうしてみると豪華キャストで違和感ない配役です。
中華TVドラマをみるうえで、主要な役以外の役者にあまりなじみがないことはちょっとつらい。そんななかで『流星花園』のタマさんと同じ役者さんがちょい役ででていたのは嬉しい。唐[王其]さん、なかなか気になる女優さんです。
原作が気になるところですが、字幕付きで全3回と短いため、まずは原作よまずにドラマで話の流れを追うつもり。BS導入した甲斐がありました。

地上波『流星花園』は第7話。旭の見所満載の回です。美容院で意味なく踊っていたりする。ラストシーンは「流星花園」の中でも名場面なんではないでしょうか?
類はいませんでしたが、日本映画版を見てから思うに、台湾ドラマ版が成功した鍵は、やっぱ美作と西門ですわ。今回出番が少なかったのに、この二人と旭のシーンは印象に残るのです。微妙な位地にいるヴァネとKenちゃんですが、存在感があるのです。
F4迷というのは、基本的に『流星花園』迷なのでしょう。現在では単独で活動している彼らに、どこかに『流星花園』とF4を求める。日本では放映がかなり遅かったんで、多くの迷にはタイムラグが生じているわけですが、この状態を面白がるのも楽しみ方の一つではないかと。

借り物の椎名林檎の『下克上エクスタシー』DVDかけながら昼寝。パフォーマンスを楽しむべき音楽。ヴォーカルとせっかくの歌詞がサウンドに埋もれてしまうのが、狙っているのではあろうけど、聞きづらい。
なにがあたるかわからない世の中において、先駆者になるのは希なこと。仕掛ける裏方と舞台に上がる者と、両者に寝食忘れるほどの熱意があるとき、流行ができるのかもしれない、と思ったり。
posted by 夏居 at 03:11| Comment(1) | F4 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年11月12日

『日記-「ヘブン・アンド・アース」中国滞在録』ひょっとすると映画よりも面白い撮影日記

アジアの映画やらドラマやらに、日本の役者が出演するのは珍しいことではなくなっている。『ヘブン アンド アース (天地英雄)』には中井貴一が準主役で出演していた。
中井貴一といえば、最近ノースウエスト航空の機内誌にでてたのを思い出す。オレゴンはすばらしい、というテーマのえらく気障な記事であった。結婚してどうのこうの、ってのろけまくってるし。質のいい売れ筋の映画やドラマに多数でている、騒がれすぎることもなくてそこそこ売れてる順風満帆な二枚目二世俳優という認識は、たぶん一般的なものだろう。

が、『ヘブン アンド アース (天地英雄)』では中国人のスタッフ、キャストの間に日本人一人放り込まれて、かなり苦労したらしい。
中井貴一は撮影当時の日記を軸にした体験記を著している。映画の撮影過程、本人の焦燥感、中国人キャストやスタッフの様子が記録されている。秘密主義の監督への不信感とか、主演女優のヴィッキー・チャオがおこした騒動とか、中国側の関係者には読めないから書けるんだろう、というような裏事情満載。
内容の面白さもさることながら、過酷な環境であっても自分の役をやりとげるのがプロの俳優である、というわけで中井貴一を見直したのであった。タレント本の枠にとどまらず、一体験記として読める内容の濃い本である。

日本の役者が他のアジア各国の映画やドラマに出演すること、最前線にいる当事者にとってはまだまだ大変なことのようだ。言葉の問題は大きい。さらに国によるやり方のちがい、というのがあるわけで、でもそれを乗り越えようとする過渡期が現在であるわけで、なかなかよい時代を共有している、といえる。今は日本の役者が他の国の作品に出演する場合が多いが、そのうちアジア各国の役者が、日本の作品で活躍することが多くなるかもしれない、と思うとなかなか楽しい。

『ヘブン アンド アース (天地英雄)』(2004年 2月)は中国歴史物大作映画である。主役をはっているのはヂァン・ウェン(姜文)おじさん。力作であるが、最近この手の映画、多いのである。ポイントは、やっぱり日本人が準主役で出ずっぱりのところか。


『日記-「ヘブン・アンド・アース」中国滞在録』
中井貴一 著 キネマ旬報社 2004年2月  1575円 
posted by 夏居 at 23:53| Comment(0) | 単行本・マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年11月11日

『錦繍前程』(レオン・カーファイの恋はあせらず)

日本のDVDには『レスリー・チャンの恋はあせらず』とすごいタイトルがついているが、中国語タイトルは『錦繍前程』である。レスリー・チャンとレオン・カーファイの友情コメディで、レスリーは嘘つきサラリーマン、カーファイは老人ホームでバイトする音楽家志望青年なのである。ほかにロザムンド・クヮン、マイケル・ウォン、ウォン・ジーワーらが出演している。日本ではカーファイよりもレスリーのほうが知名度が高くファンも多いため、こんな邦題がついてしまったのであろう。

ストーリーはわかりやすい。背広に眼鏡のレスリー扮するロンが会社をクビになって女にも振られて、カーファイ扮するホイら友人たちに迷惑をかけまくる。ロンもホイも友人たちもお金持ちではなさそうだけど、友達がいて気ままに生きていて、楽しそうでよろしい。ロンもホイもダメ男っぽいけど憎めない。

カーファイがのびのびしていてよろしい。カーファイってエラがはってて好みが分かれる顔立ちをしているが、ガタイがよくって個性的なんである。心優しいフリーター役がはまっている。気どりのない役柄だが、カーファイ演じるが故、優しい大人の男でもあったりする。
対して、ずっと背広姿のレスリーである。しかし、レスリーに庶民的な役柄、似合うとは思えないんだが如何だろうか。もっとも、迷にとっては「かわいい~」といったところかもしれないが。私もレスリーとなるとちょっと平静ではいられなくなる口だが、うむ。ま、こういうレスリーもあり、か。
ちなみにレスリーは『恋戦 OKINAWA』といい、カーファイと組むと子供っぽくみえる。ええい、言ってしまえ、「とっつぁん坊や」と。カーファイが大人だから、というよりも監督の演出のせいか。『恋戦 OKINAWA』と同じ監督なのだった。

レスリーよりもカーファイをみる映画。日本では劇場未公開。土地転がしビジネス、老人ホームなどは香港ならではの設定であり、駄作ではないんだけど、映画としてはもう一ひねり、スパイスが欲しいところ。


『錦繍前程』
(監督:ゴードン・チャン 1994年 香港)
posted by 夏居 at 23:53| Comment(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年11月10日

『2046』について少々

いまさら『2046』なのであった。一回見ただけでどうこういえる作品ではないが、少々。
芸術性は高いことは誰しも認めるところであろうものの、好みがわかれる作品であることは間違いない。トニー・レオン扮する女遊びを得意とする文筆家が主人公なのはいいが、時間軸がやたらととぶから話がみえない。登場人物たちの評価も、観客ごとに異なるであろう。豪華キャストの抽象的な作品である。

王家衛作品を見続けてきて、王家衛的世界が好きな人にとっては好感が持てる作品だ。なにしろ『花様年華』『欲望の翼』『天使の涙』『恋する惑星』『ブエノスアイレス』あたりがごっちゃになったような映画である。冒頭のSFチックな映像には、そうきたか、と思わせられた。しかし中盤から後半にかけて、だれてくる。
女たちは美しい。特にアンドロイドになった女たち。SF映画ではよくある設定であるが、王家衛、ウィリアム・チョン、クリストファー・ドイル(本作品では撮影というより撮影監督らしい)ら『天使の涙』チームならではのアンドロイドっぷりである。カレン・モクのぶっとび金髪女が頭に浮かぶ。ただ、もっと各人の個性があってもいいのでないか。
好みは人それぞれだろうが、私の好みはフェイ・ウォン。歌手が本業であり演技にそれほど力をいれているとは思えない彼女だが、王家衛の映画にはその固さが妙にはまる。チャン・ツィイーは見所満載。かーりんのご登場は『欲望の翼』好きにはたまらない。コン・リーもさいごにでてくる。マギー・チャンはあくまでもゲスト。ドン・ジェは印象に残らなかった。豪華な顔ぶれであるが、チャン・ツィイーとドン・ジェの二人の若手以外はすでにこの監督の作品に出演済みなのであった。
男優陣は女優陣とくらべると、物足りない。トニーさんは、あちこちで褒められてるが、要はスケベ親父ではないか。余裕ありすぎと思うのは私だけか。キムラ氏は、面長で目の表情などがどことなくトニーさんに似ているが故に起用されたと思われる。チャン・チェンは、いたっけ? といった程度しかでていない。
王家衛もすっかり巨匠である。初期のころにあった青さはすっかり抜けてしまって、なんだかもう、一緒に歳とっていこうよ、といった感じの作品が続く。大陸の大家たちみたいに落ち着いてほしくはないんだが、仕方があるまい。次作もトニーさん主演らしいし。『2046』では、それなりに新しいものをとりいれようと、昔のロードムービーっぽい感覚をだそうと試みたんではないか、とも思える。

理由は何であれ、アジア圏の映画がつぎつぎと日本で注目を集めている。わるいこっちゃないだろう。カンヌの権威に弱いんでも話題先行でもよかろう。


『2046』
(監督:ウォン・カーウァイ 2004年 香港)
posted by 夏居 at 23:58| Comment(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年11月09日

惣領冬実の『MARS』

F4迷の間で話題の、仔仔主演の台湾ドラマ『戦神(MARS)』の原作となるマンガである。強烈なおすすめがあり、全15巻一気に読んだ。第15巻は出版社にも在庫がないとかで、マンガ喫茶にて。

単行本表紙をひんぱんに飾っているのが主人公の零。不良っぽくていい男でプロとして通用するバイクレーサーでもある彼と、やや陰気で絵の才能がある女の子キラの恋物語。二人は高校生で、零を好きな女やキラを好きな男がでてきて、そして話が進むにつれてやがて、、、と少女マンガの王道をいく物語なのであった。対象年齢は中学生~高校生か。
バイクシーンはとても魅力的なのだが、それよりも主人公二人が抱き合ったりいちゃいちゃしているシーンのほうが印象的だったりする。惣領冬実の絵柄は甘く、この作家らしいザ・少女マンガの世界を築く。
双子、精神的な傷、複雑な家庭環境などが、上手にとりいれられているものの、これらにコマの外までにじみでるほどの重さはない。主題にするにはあまりにも正面から描きすぎているためであろう。ラブストーリーとして素直に読むべき作品であり、それ以上の深みを求めるにはもの足りない。伏線のはり方、だんだんと主人公たちのバックグラウンドが明らかになっていく話の進め方はわかりやすい。主題ではないものの、これらは読み出したらやめられない力を作品に与えている。

ドラマティックな素材を扱いながらその重さがないぶん、実写化版には期待ができる。台湾ドラマの動画を見る限りでは重厚感があり、仔仔扮する零は原作通りの恵まれた体躯・長髪のいい男で全く違和感がない。まさか、これで高校生という設定ではないと思うが。
台湾ではこのドラマ、このたび放映終了した模様。日本でもDVDなど入手すれば見えるのだが、未見。BS日テレが字幕をつけて放映してくれるのを待つか、どうするか。
posted by 夏居 at 23:18| Comment(2) | 単行本・マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年11月08日

『花より男子』(日本映画 1995)

コミック『花より男子』の日本での実写版である。1995年の作品。劇場映画で78分にまとめられている。当時、かなり話題になったことを記憶しているが、いましがたようやくビデオで見終わったのであった。

内田有紀主演のB級アイドル映画である。こういうチープなテイストがたまらん人にはよろしかろうが、普通にみると、かなりつらい。内田有紀は原作と違ってショートカットだけど可愛いから許す。しかし、最後のカットはもうちょっといい表情の絵にしてやれなかったのか。
悲しいのはF4だ。金持ちにはみえないし、4人がオープンカーに乗って登場したり道明寺が裸に派手派手チョッキででてきたり。妙なところで原作に忠実で、道明寺はおもいっきりアホっぽい。ラストシーンでよくみるとハンサムなのに。谷原章介という役者さんで、現在も活躍中らしい。花沢類は藤木直人。類は難しい役どころだが、藤木直人は顔でカバーしている。演技についてはなにもいうまい。
美作と西門が全く描けていない、二人ともちょい役で、どっちがどっちかわからないどころか、その他大勢にとけ込んでしまっている。
女の子向けのコミックを、美少女アイドル映画にしたんだからムリがある、1時間ちょっとの映画での表現には制約がある、とはいうものの、コミックとは別の作品としてみるにしてもなんだか中途半端な作品。藤原紀香嬢映画初出演作として、歴史に残る一本ではあるようだが。

台湾ドラマ版が成功したのは、やっぱりF4の功績だ、と改めて思うのであった。主役の道明寺はアホなだけじゃだめなんである。もともと女の子向けのコミックなんだから、いい男に描かないと。類は仔仔のほうが上手いかも。というか、仔仔のほうがちゃんと演出してもらっている。美作と西門の描き方も重要。4人揃って、その他大勢よりも背が高くてガタイのいい男子で大正解。
また、設定を中途半端にせず、4人を徹底的なお金持ちにしたり、台湾の庶民的な町並みをほとんど使わなかったのも、ドラマの非現実性を高めている。日本版はそのあたりハンパであるが故にチープなんである。

台湾版の制作者は、当然日本での実写版を参考にしていると思われる。舞台となる大学の雰囲気、かなり似ている。台湾版では日本実写版にあちこちダメだしして反面教師にしてるんではなかろうか。監督、制作者の功績も大きい。

素材が同じでも、料理の仕方で見事に味わいが違う好例。


『花より男子』
(監督:楠田泰之 日本 1995年)
posted by 夏居 at 23:58| Comment(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年11月07日

土曜の夜はF4なのだった

この秋、土曜の夜はテレビ鑑賞の時間と化している。地上波で10:00PMから『流星花園』、BSで11:00PMからF4ドラマとくれば、動けなくなるわけだ。NHKの『美しき日々』も微妙に気になったりするが、今晩はおやすみ。

無事、『流星花園NG集』を鑑賞。録画もばっちり。仔仔の「今後芸能活動つづけていくかわからないけど」というコメントにしみじみ。あんた、今や台湾でもトップクラスのギャラで契約する明星じゃんか。3年前の話なのよねぇ。と、時間のギャップを感じるのであった。
東ー東南アジアの中で、実は日本がいちばん流行に遅れてるかも、という状態なわけ。先進国だと威張っている国がかなり面白いことになっているんだが、その住人としては面白がっているだけでは済まないだろう。いろんな分野において、近隣の国に対してより鋭敏にならないと、これはおいてけぼりをくうかも、と。

BS日テレが「BS日テレを見るためにここまでしたという話があればおよせください」とか言っている。『戦神』『貧窮貴公子』『狂愛龍捲風」』『女生向前走』『麻辣鮮師』『橘子醤男孩』『蜜桃女孩』だけじゃなくって『門魚』とか『●子』(楊祐寧のね)とか、ブームにならなくとも、今後も台湾のドラマ放映するんだったら「BS日テレのためにアンテナとチューナー買いました」って投稿してもよいんだが。BSはまだソフトに苦戦しているようだが、北京語ドラマはいかがでしょうか、と。

朱考天くんイベントに関する情報に、思考回路が停止中。いや、別にKenちゃんてわけでもなかったんだけど。F4の中でもわりとふつうのお兄ちゃんだな、と思ってたはずなんだけど。いつの間にやら、ひっかかりのツボがでてきて、気になり出すと止まらないのであった。旭君といい、幼少期のおいたちからくるなんとやら、がある人ってのにどうもなにかが疼くのであった。
posted by 夏居 at 02:02| Comment(0) | F4 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年11月05日

『向左走・向右走 (Turn Left, Turn Right)』ターンレフト・ターンライト

ジョニー・トー〈杜[王其]峰〉のラブコメである。ジョニー・トーといえば、『暗戦 デッド・エンド』に『ザ・ミッション  非情の掟』と、ハードボイルドな男の世界をカッコよく描く監督だ。それが、金城武クンとジジ・リョン(梁詠●)のラブストーリーである。

これがまた、かわいいんである。好きあっているのに、いつまでも出会えない二人。いろんなところですれ違っているのに、部屋さえも隣なのに、本人たちは気がついていない。あり得ない、あほらしい、といってしまえばそれまでの話なのだが、観ていてつい、はらはらしてしまう。
脚本がしっかりしているんである。主役の二人にはそれぞれおじゃま虫がくっつくのだが、その絡み方もよろしい。しかし、冒頭で金城君を誘惑しようとする怖いおねえさんには全く意味がない。

主演の二人はいうまでもなく美男美女。金城君はバイオリン弾き。バイオリンを弾く男というと、つい『流星花園』の花沢類を思い出すが、バイオリンは中華圏美青年のキーアイテムのようだ。ジジ・リョンは『烈火戦車』でアンディ・ラウの相手役としてみたのが最初。烈火戦車が1995年の作品だから、もう10年近く売れっ子なわけで、でもまだ28歳で、立派なもん。日本でも『再見 またあう日まで』がヒットしたし。イーキンとは長いし。こういう甘いラブストーリーの主役にぴったりはまる。可愛い格好で登場するんだけど、その長いマフラー、危なくないか?

舞台は台北。主人公二人の部屋が広くてお洒落で、貧乏とはとてもいえないのは仕方ない。台北の街の描き方がさりげなくていい。『流星花園』みたいにトレンディスポットで固めず、かといって『夢遊ハワイ』ほど泥臭くもなく。ナチュラルでお洒落におさえている。

原作は台湾の絵本。中華圏でのベストセラーということ。雰囲気がわかるサイトはこちら。日本でも出版されているがあまり話題にならなかったような。ほんわかした雰囲気が映画に活かされていることに納得する。
ずっとあきらめずに思っていれば縁は必ずある。たとえ邪魔するものがあったとしても二人は出会うことができる。ジョニー・トーのラブストーリー、隙はあれども、恋に前向きになれる小品に仕上がっている。

レディース・デーの午後の回に鑑賞。映画館には金城君目当てと思われる女性が列をなしていた。


『ターンレフト・ターンライト』
原題 向左走・向右走 (Turn Left, Turn Right)
監督:ジョニー・トー (香港 2003年)
posted by 夏居 at 00:17| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年11月04日

『インファナル・アフェア 無間序曲』 パートIIからみるのもおすすめ

黒社会(マフィア)で生きる潜入捜査官と、警官として生きる黒社会構成員。黒社会と警察の攻防の中、ともにスパイとして敵地で信頼を得ながら働いている二人の男。なんともややこしい事態である。多くのものを失いながら、誰のために生きているのか。苦悩する二人をアンディー・ラウ(劉徳華)とトニー・レオン(梁朝偉)が演じた第1部が日本で公開されたのは2003年のこと。

本作はその第二部である。物語は過去にさかのぼる。二人の潜入者には、アンディー・ラウとトニー・レオンの若き日の姿として前作に登場した、ショーン・ユーとエディソン・チャンが起用されている。が、この二人の比重はそれほど大きくない。アンソニー・ウォン、エリック・ツァン、フランシス・ン、ロイ・チョンそしてカリーナ・ラウら香港映画ではおなじみの渋めの大御所たちが物語を進めていく。無間道は大人の世界なんである。

よって、安心してみていられる香港ノワールの世界が繰り広げられる。かといって、マンネリ感もない。『藍宇』でおなじみの中国俳優フー・ジュンが重要な役どころで登場したり、カリーナ・ラウが芯のとおった姉御っぷりをみせたり、キャスティングと脚本のバランスもよい。
二人の若手の見せ場が効果的。キャリアも知名度もあって癖の強い俳優たちのなかで、よく健闘している。物語が複雑なためとまだ二人とも役者としての癖がついていないため、いまいちどっちがどっちなのか区別がつかなくなったりもするが。
どちらかというと、ショーン・ユーのほうが印象が強い。警官の制服よりも、黒社会の派手な格好のほうが個性をだしやすい、ということもあろうが。エディソン・チャンは、出演作を何本かみているのだが、育ちがよすぎる感があり荒っぽい役どころにはそぐわないと思うのは私だけか。

フランシス・ン、というよりン・ジャンユーといったほうがしっくりくるのだが、この人はでる作品ごとに印象がちがう。悪役やら黒社会の人役は得意の人だが、今回は眼鏡をかけたインテリ風の黒社会のボスとしてご登場。誰かと思った。
逆にエリック・ツァンは、エリック・ツァンにしか見えないが、この人はこれでよろしい。アンソニーは独自の渋さをかもしだしているし、メインキャスト紅一点のかーりんは格好いいし。

トニーとアンディが中心だったIとは別の作品として鑑賞できる。かつ、ちゃんと3部作のうちのひとつとして話もつながっている。IIをみてからIをみてもいいようにできているのはお見事。アンドリュー・ラウのお仕事でも、おなじ連作『古惑仔』よりもはるかに緻密であり、その進化がうかがえる。もっとも『古惑仔』はあれはあれで、よろしいんですが。無間道もそのうち外伝なんかでてきたりするかもしれないが、折角なのでこのまま渋くキメてほしい。

なお、エンドロールのあとでIIIの予告がながれ、これは必見。これまた無茶苦茶楽しみなキャスティング。香港では今年の12月から公開とか。なお香港のサイトはこちら

新宿は歌舞伎町の映画館街で鑑賞。香港ノワールものをここでみると、日本で観ているにもかかわらず、映画館をでてからもしばらく気分がつづいてたいへん楽しい。こわい、という意見もあるようですが。


インファナル・アフェア 無間序曲
監督:アンドリュー・ラウ (香港 2003年)
posted by 夏居 at 01:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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